お出かけ日記ANNEX

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5/1(土) 松山・広島・うさぎ島 瀬戸内まんきつ海の旅1日目~その3~

 松山市駅の電停で降りて、鯛めし 槇という、その名もズバリの店に向かいます。店に向かうと、私の前に入っていくお客が1組。
「ああ、よかった。開いていた」


 しかし、席数はそれほど多くはなさそうです。お店の方に何名かと聞かれ、一人だと答えたのですが、
「少々お待ちください」
と言われて心配になりました。でも、すぐにカウンター席に通してもらえてひと安心。ホッと胸を撫で下ろします。
 ここは当然、鯛めし御膳を注文。本当は炊き込みごはんの鯛めしを食べたかったのですが、この店の鯛めしは生の鯛の身を乗せる鯛めしです。それでも、食べられるのなら文句はありません。
 しかし、旅行者にとって19時までの酒類提供、20時に飲食店の閉店というのは厳しい条件です。出かけた先で様々な観光をし、ホッとひと息つきながら夕飯を食べるとなると、どうしても19時頃になってしまします。その時間に、その土地の美味しいものが食べられないというのは寂しい限りです。さらに、この店の夜の営業は18時かららしく、酒類提供時間は18時から19時の1時間だけと入り口に書かれていました。そんな短時間で、酒類の売り上げがどれだけあるのでしょうか。コロナ禍で人出が減っているうえ、酒類が提供できない。飲食業が受けるダメージは相当なものです。
 19時の酒類提供に間に合ったので、野武士という愛媛の酒を熱燗でいただくことにします。


 鯛めしはすぐに運ばれてきて、お店の方が食べ方を説明してくれました。まず鯛の身を全て出汁の中に入れて、それを出汁ごとごはんにかけて食べるのだそうです。わさびとたまごは後で足すように言われたので、たまごかけごはんのように、白いごはんに出汁と鯛の身をかけ、箸で口の中にかき込みました口の中にかき込みました。


「おおっ! なんだこれは……」
 まず、口いっぱいに出汁の豊かな風味が広がり、そこへ鯛のうまみが合わさります。その絶妙な味わいが、この出汁によってごはんとさらに合わさり、見事に料理として完成するのです。これはうまい!


 一緒に添えられていた揚げ物のようなものが何だかわからず、お店の方に聞いてみると、鯛の南蛮だと言います。鯛を南蛮漬けにするなんて、なんて贅沢な……。これがまた、日本酒にとても合うのです。
 あっという間に平らげて、大満足で店を出たのですが、どうにも物足りない。ここは一つ、デザートを食べに行きましょう。
 松山について調べていたときに、松山のラーメンは甘いという記事をインターネットで見つけました。
「ラーメンが甘い?!」
 しょうゆ、とんこつ、しお、みそ……、ラーメンの味のバリエーションは数あれど、味が塩辛いというのはどれも共通しています。少なくとも、ラーメンを食べて甘いと思ったことなど、今まで一度もありません。それなら、ぜひ行ってみようではありませんか。


 インターネットで紹介されている記事を頼りに行ってみた瓢太というお店は、ラーメンやさんではなくて居酒屋さん。4人が座れる奥の座敷に通されると、
「アルコール、終わってますがよろしいですか?」
と聞かれました。残念だと思いつつ、それでも中に入れてくれるのだから、中華そばだけでも大丈夫なのでしょう。居酒屋らしい、美味しそうな料理の名前が並ぶメニューを眺めながら、しばし待ちます。
 やってきた中華そばは、見た目は豚骨しょうゆ系の白っぽいスープのラーメン。上に載せられたぶ厚い肉が食欲をそそります。この肉だけで、白めし一杯は軽くいけそうです。


 まずは、スープをごくり。なるほど、甘いとはこういうことか。もちろん、砂糖の甘さではありません。肉の甘さというのでしょうか。それだけでなく、色々な甘さが合わさった、生まれて初めて食べる味です。ラーメンは塩辛いものだと思っているのに、食べてみると甘い。そのギャップに、頭がついていけなくなります。これは面白い発見でした。


 店を出ると、もうすぐ20時。こうなると、後はホテルに直行するよりほかありません。広島市はまだ、ここまで厳しい時短営業の指示は出ていないようですが、この大型連休中の旅は、こういったことを考えながら行程を組んでいく必要がありそうです。
 大街道周辺も、電気を消してみんな店を閉めていました。20時を過ぎれば当然ですが、臨時休業にしてしまっている店も少なくありません。観光客が来ないだけでなく、地元の人だって19時までというのは厳しい。いっそ休業してしまうというのもわからなくはありません。
 しかし、そうすることで、街の賑わいは確実に失われていきます。街の明かりは消え、人通りもなく、20時とは思えないような暗さで気味が悪いほどです。


 とりあえずは、今日の宿であるホテルチェックイン松山にチェックイン。部屋に荷物を置いてから、近くのコンビニでビールとつまみを買ってきます。


 このホテルを選んだのは、ホテルの大浴場が奥道後からの引き湯だからです。ビジネスホテルなので、シャワーの設備も当然あるのですが、やはりここは大浴場に限ります。
 広い湯船に癒されてから、狭いホテルの部屋でのささやかな晩酌を楽しむのでした。