お出かけ日記ANNEX

お出かけ日記(https://ameblo.jp/porori-h/)の別館です。

5/2(日) 松山・広島・うさぎ島 瀬戸内まんきつ海の旅2日目~その1~

 朝、まだ暗いうちに目が覚めました。まだ早いからと、何度かウトウトしていると、そろそろ動き出してもよさそうな時間です。
 温泉つきのホテルであれば、朝湯に入るのは当然のこと。6:30に大浴場に行ってから同じ階にあるレストランへ。昨日、朝7:00からの朝食バイキングのチケットをもらっていたので、その時間に合わせて行きます。朝湯の後なので、お店の方に断ったうえで、大浴場前にあった自販機でドリンクを購入。朝寝、朝酒、朝湯が大好きでって、身上つぶす小原庄助さんそのまんまです。


 窓の外に目をやると、黒い雲が向こうの山の上にかかっているのが見えます。朝の天気予報では、午後から天気が崩れると言っていて、雨マークもついていました。
「傘、いるかなぁ」
 雨が降らなければ、ホテルにあるという貸自転車を借りて道後温泉に行きたいところ。自転車なら、途中の上一万にある大好きなタルトのお店、六時屋さんで一服することもできそうです。
 チェックアウトの時にフロントで聞いてみると、あいにく全て出払っていると言われました。仕方ない、道後へは電車で行くことにします。
 ホテルを出て、静かな大街道を抜けて電車通りへ。ちょうどアーケードの先に電車が発車していくのが見えました。路面電車はどこに電車がいるのかが一目瞭然。「もうちょっとで来るぞ」というときはいいのですが、
「もうちょっとであれに乗れたのに……」と悔しい想いもするのでした。


 昨日は古い車両でしたが、今日は新しい車両です。さすが、力強く軽快に走ります。その割にはモーターの音はとても静か。音だけは、昨日の古い車両の方が力強く感じます。
 道後に近づくにつれて、雲行きが怪しくなってきました。これはひと雨きても不思議ではありません。
 道後温泉駅で電車を降りると、もう5月だというのに寒いのです。1か月前の、桜が咲く頃のような肌寒さです。空が暗いので、余計に寒く感じられます。


 道後温泉本館は、新型コロナ対策で休館中。でも、椿の湯は開いていることは知っています。
「他にも情報はないかなぁ……」
 そう思って駅前の観光案内所に入ってみると、中は大学生くらいの若い男性でいっぱい。そして、美少女キャラの等身大パネル


「何かのアニメの聖地なのか?!」
 道後が出てくる作品といえば、夏目漱石坊っちゃんというのが定番中の定番。しかし、坊っちゃん以外にもここが舞台になっている作品があるのかもしれないと、この時は思っていたのでした。
 ともあれ、まずは伊佐爾波神社へ。そうか、ここも八幡さまだ。先週は宇佐に行ったので、2週連続の八幡詣でです。書き置きの御朱印をいただいて、山を下ります。


 道後温泉本館は、2019年1月から保存修理工事の真っ最中。裏側から見ると、建物全体を大屋根で囲っての大工事です。表の入り口にまわると、こちらは以前の雰囲気が残っていました。


 アーケードを抜けて、道後温泉にある3つの公衆浴場のうち唯一開いている椿の湯へ行ってみます。広島にいた頃、一度来たことがあるので、場所はわかっています。


 入り口には係員がいて、検温•消毒のうえ、用紙に連絡先の記入を求められました。開いているとはいえ、厳戒態勢です。
 中に入ると、お客さんはおじいさんばかり。観光客らしい人の姿はまばらです。
 それでも、久しぶりに道後の湯に浸かれるのは嬉しい限り。広島に住んでいた頃、オートバイで四国に遊びに来たときの最後のシメは道後温泉。この湯に浸かってからゆっくりしてから、瀬戸内を渡るフェリーに乗ったものです。
 ホテルは奥道後温泉の引き湯でしたが、こちらの湯はまた違います。湯船に入った瞬間、「あ、柔らかい」と感じるのです。体に触れる湯の感触が、ホテルの湯とは全く違います。例えるなら、ちょっといい羽毛布団と普通の布団くらいの違い。でもこの柔らかさを、体が覚えているのです。


 9:40頃の電車で道後温泉駅を出て、預けてある荷物を引き取りにホテルへ戻ります。運転席のすぐ脇に、新しいミラーレスの一眼レフを持った、大学生くらいの3人の若い男性が陣取っていました。彼らは聖地にやってきた巡礼者でしょうか。
 道後を歩きながらわかったのですが、先ほどのキャラクターは「温泉むすめ」というもので、調べてみると、しっかりとした公式サイトも作られていました。なんと、日本全国の温泉地にちなんだキャラクターがいるらしく、ここ道後の女の子は道後 泉海(どうご いずみ)という名前なのだとか。しかも、道後温泉観光親善大使にもなっているようです。
 キャラクター紹介のページからは、温泉地の公式サイトの他、じゃらん楽天トラベル等へのリンクバナーも貼られています。公式サイトの説明には、「温泉むすめプロジェクトは、アニメや漫画、キャラクターや声優などのIP(Intellectual Property)を通じて、日本全国の温泉地や地方都市の魅力を国内外に発信するために作られた『地域活性化プロジェクト』です。」とあります。温泉旅行といえば、慰安旅行や社員旅行、お年寄りの団体旅行といった昔のイメージはそこにはありません。それに、そういった団体旅行も最近ではあまり聞かれなくなりました。旅のスタイルが変わってきている中で、観光地も新しい旅のスタイルを追求していかなければならないのでしょう。
 時代は変わっていきます。古いものを生かすことと、古いものに縛られるのとは違います。温泉の良さは生かしつつ、新たな魅力を提案することも大切です。温泉むすめが良いかどうかはそれぞれの考えもあるかと思います。しかし、旅の選択肢の一つとしては、あっても悪くないのではないかと思うのです。