お出かけ日記ANNEX

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5/2(日) 松山・広島・うさぎ島 瀬戸内まんきつ海の旅2日目~その3~

 咳もどうにか落ち着いて、瀬戸内の順調な航海を楽しみます。倉橋島の大きな島影が見えて来ると、音戸の瀬戸も近づいてきました。ぐるりと大きく回り込むと、真っ赤な音戸大橋が見えてきます。その奥には、2013年に開通した第二音戸大橋も見えます。


 船内にあった航路図によると、音戸の瀬戸の海峡幅は約70mとのこと。デッキから眺めていると、陸地を走る車の運転手の表情までわかるほど近くに見えます。ふと、某テーマパークにある外輪船のアトラクションを思い出しました。向こうの人とお互いに手を振り合うことはありませんが、公共交通機関なのに、なんとなくアトラクションっぽいなと思うのです。


 音戸の瀬戸を抜けると、灰色の護衛艦がいくつも浮かんでいるのが見えてきます。呉基地係船堀には、いずも型の護衛艦が停泊していました。空母のような大きな船体は、全長248m。この旭洋丸だって大きいと思うのに、長さは62m。いずも型はこの船の4倍もの長さだというのですから、想像もつきません。


 呉港には5分の延着。降りるお客さんがけっこういるのは予想通りでしたが、観光客でしょうか。呉から乗船するお客さんも何人かいたのには驚きでした。
 呉を出れば、懐かしい風景が目の前に広がります。広島の海、広島の山、そして広島の街。どれだけ離れていても、やはり自分が生まれた街というのは特別です。


 14:00頃、宇品港に到着。広島に降り立ったというだけで、嬉しくなってしまいます。


 さすがにお腹が空きましたが、今日は夕方にお好み焼きやさんに行く約束をしています。何か食べるとしても、軽いものにしておかなければなりません。
 スマートフォンで検索すると、宇品に良さそうなお寿司やさんが見つかりました。現代の旅は、ICT機器を活用が不可欠です。紙ベースの情報と電話、現地での聞き込みが全てだった時代からは、扱う情報量が飛躍的に増えました。だからこそ、そこから自分に必要な情報を取り出すということが、旅の技術として必要になってきます。
 乗った電車は、カープ電車。車内で流れる自動放送は、選手のもの。しかし、最近のカープの情報は全く入りません。カープに誰がいるかということすら、わからないくらいです。

 広島で普通に生活していれば、カープが勝ったのか負けたのか、今の調子はどうなのかといった情報は自然に入ってきます。誰かがカープのことを話しているのが当たり前なのです。でも、東京ではそうはいきません。改めて、
「広島って、すごいところだったなぁ」
と気づかされます。


 宇品四丁目で降りて、お店まで歩きます。このあたりは、広島で就職して最初に住んだあたり。入り組んだ路地や、埋め立てで拡張されたせいでしょう。あちこちにある町の段差が懐かしいです。


 赤バスが通る道に出てお店を探すと、すぐに見つかりました。この道も、幾度となく通った道です。確かに、お店があったような気はするのですが、お寿司やさんだったかどうか、記憶が定かではありません。情報とはつまり、そういうもの。どれだけあったとしても、その中から見つけなければならないのです。


 無事にたかや寿司というお店を見つけて中に入ると、カウンターに案内されました。にぎりを頼もうとメニューを見ると、特上、上、松、竹とあります。竹なら少ないかなあと考えてお店の人に聞いてみると、
「足りなければ後で追加されてはどうですか?」
とおばちゃんに促されました。なるほど、その手があったか。寿司ばかりでなく、別のものを頼んだってよいのです。
 にぎりの竹(880円)を注文すると、ちゃんと寿司桶の中ににぎりが並んでいます。これでこの値段でいいのでしょうか。たまらず、日本酒を注文します。


 まず驚いたのは、玉子の厚み。シャリは、玉子の半分ほどの厚さしかありません。でも、これがベストマッチ。寿司ネタとのバランスというのもあるのだと木塚されます。
 寿司には大満足だったのですが、もうちょっと何か食べたいところ。すると、ホワイトボードのおススメメニューに、「ゲソの塩焼」というのを見つけました。大将に声をかけると、もう終わってしまったとのこと。


「じゃあ、いいです」
と断ると、
「炊いたんならあるよ」
と言うではありませんか。もちろん、お願いしました。


 今度のお酒は宝剣を注文。このイカが日本酒に合うのなんの。中にはちゃんとからすとんびも入っていて、レベルの高さを感じました。
 お店を出て、電停の手前にある神田神社に立ち寄ります。こんな街中のお社にも御朱印があるようで、下の社務所を訪ねるように書かれていました。普通の家の玄関のような入り口で呼び鈴を押し、出てきてくださった女性に御朱印帳を預けます。


「どちらから来られました?」
と聞かれたので、東京からだけれど、以前はこちらに住んでいたことを伝えました。すると、
「それは、お帰りなさい」
とひと言。そのひと言が、とても心に沁みます。
「ああ、そうか。この街に帰ってきたのか」
 そのことをこうやって実感できるのは、なんと幸せなことでしょう。
 御朱印の初穂料をどれだけ納めれば良いかと尋ねると、
「お気持ちだけでけっこうです」
とのこと。ならばと、上の賽銭箱に入れて、大満足で電停に向かうのでした。