お出かけ日記ANNEX

お出かけ日記(https://ameblo.jp/porori-h/)の別館です。

5/2(日) 松山・広島・うさぎ島 瀬戸内まんきつ海の旅2日目~その4~

 広電の路面電車本川町へ向かいます。今日の宿は、ゲストハウス。そういえば、中学1年生の時、初めて自分で予約して宿は北海道・大沼のユースホステルでした。スタートがドミトリーだったのですから、ホテルよりもよっぽど馴染みがあるというものです。


 電車通りから一本入った所にEvergreen Hostelはありました。レセプションには、インド系らしい若い女性が座っています。国際色豊かな所だなと思っていると、女性は何やら日本語と英語が併記されたアンチョコを手に、
「ゴアンナイシマス」
と言って館内の説明を始めました。
 日本語で説明してくれるのかと思っていたら、キッチンで何やら説明に困っています。こちらが英語で助け舟を出すと、なんとそこからAll English。まあ、基本的なことしか言われないので、受け答えもそこまで難しくはなく、むしろ英語でリアクションすれば良いだけなのですが、広島で海外ホステル気分を味わうことになるとは思いませんでした。
 荷物をベッドに置いて、ゲストハウスを出発。出かけようとすると、共用のラウンジスペースにいた欧米人が、
「イッテラッシャイ」
と声をかけてくれました。コロナ禍で国外への旅行がままならない今、こうして外国の方と触れ合えるのは嬉しい体験です。
 少し時間があるので、電車に乗って袋町へ。昨年来たときに見学できなかった旧日銀広島支店へ行き、地下でやっているらしい面白そうな展示を観に行こうとすると、1階で開催中のSUSUMU SAKAGUCHIの「Beauty and Nature The Flowers 花と美」展の係の方が、
「どうぞどうぞ」
と招き入れてくれました。まあ、さっと見て、地下の展示に向かえばいいかと思っていたのですが、ついうっかり展示について質問してしまったのです。それから、さあ大変。係の方は嬉々として説明を初めてしまいました。この作品を作る時に作者はこうだったとか、制作についてこういう考えでやっているとか、実に細やかに教えてくれるのです。
「このままだと、閉館時間までに終わらないぞ」
 そう気づいてからは、どうにか話を切り上げようとするのですが、なかなか終わりません。しまいには、
「説明のDVD、最初から再生しましょうか?」
とまでおっしゃるので、そこは丁重にお断りしました。
 地下に降りて、目当てだった「広島市所蔵資料常設展示 近代広島の歩みと海外移民」の展示室に入ると、男性の係員が近づいてきて、
「すみません。4時半で終わりです」
とのこと。しまった、30分早く終わるのか。上の説明が長くて見ることができませんでした。
 仕方なく、2階で行われていた広島の街の戦後の様子を撮った写真の展示を見ていると、警備員の方から、
「地下の展示はご覧になりましたか?」
と聞かれました。
「4時半までだと言われて、断られました」
「早くいらっしゃれば良かったのに……」
 いや、来ましたってば。でも、うまくいかないこともあるのです。


 旧日銀広島支店から竹屋町のお好み焼きやさん 赤とんぼに着くと、店は閉まっていて誰もいません。店先のベンチに腰かけて待つことにします。お店は17:30オープンなので、きっとそのうち帰って来るでしょう。


 しばらくして、赤とんぼさん一家が車で帰着。何やらたくさん買い物をしてきたようです。聞けば、明日、以前私も連れていっていただいた倉橋島の海越にみんなで泊まるのだと言います。
「先生も一緒に……。あ、でも、4日の列車の時間に間に合わないかあ」
と、赤とんぼのお母さんが真剣に検討してくれます。いやいや、今回は宿もちゃんと取っていますので、また今度ぜひ、ご一緒させてください。
(注.宿はいつもちゃんと確保しています)


 それにしても、お店の2人の孫娘たちにはきっと、私は客だと思われていないことでしょう。たまにやってくる、じいじの仲間の一人だと思われているに違いありません。愛想を振りまくでもなく、私の前で笑い、騒ぎ、駄々をこね、泣く。いろんな意味で、ありのままなのです。そう、赤とんぼはそんな場所。お店でありながら、店というよりも家、それも居心地の良い他人の家に居候しているといった感じなのです。


 お好み焼きを食べ終えて、そろそろおいとましましょう。
「今日はこれからどうしてんです?」
と聞かれ、銭湯に行くつもりだと答えました。ゲストハウスにシャワーはありますが、風呂はないのです。
 広島に住んでいた時は、片っ端から銭湯巡りをしました。どこにどんな銭湯があるのか、だいたい頭に入っています。
 そんな中、広島にいた時に行かなかった銭湯があります。それは、基町の高層アパートの中にある平和湯さん。特別遠い場所ではないのですが、夜の高層アパートはしんと静まりかえって、なかなか行こうという気にならなかったのです。
「でも、今日やっているかなあ」
 電話をして聞いてみると、今日は夜10時まで営業しているとのこと。今から行けば、十分間に合います。
 赤とんぼのお母さんの運転で基町まで送ってもらい、高層アパートを抜けて平和湯へ。周りの建物がいくつかなくなっていて、なんだか寂しくなっていました。


 昔ながらの銭湯は天井が高いものですが、ここの天井は低く、マンションの1階エントランスといった感じです。脱衣場も浴室も意外にも広く、天井が低いわりに窮屈さはあまり感じられません。

 広いお風呂でのんびりした後は、宿まで帰らなければなりません。誰もいない高層アパートを抜けるのですが、あまり気味がいいものではありません。広島城のお堀端の国道まで出たのですが、ここから本川町へは公共交通機関ではちょっと行きにくい。結局、脇目も振らず、さっさと本川町まで歩いて帰ったのでした。