お出かけ日記ANNEX

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5/4(火・祝) 松山・広島・うさぎ島 瀬戸内まんきつ海の旅4日目~その3~

 大三島を出た船がこちらにやってくるのが見えてきました。これに乗って、忠海へ戻ります。とりあえず、一旦本土側へ渡っておかなければなりません。飛行機に乗り遅れるわけにはいかないのです。


 船内で聞こえるのは、大阪などの関西の方言。広島弁は、あまり聞かれません。他にも、中国語や英語が混じっています。
「あれ? 今の状態で、海外から観光に来ることができるの?」
 中には日本に住んでいる外国の方もいるはずですが、それにしては数が多い気もします。新型コロナウイルス感染症での水際対策はできているのでしょうか。
 14:10頃、忠海港に到着。これなら、忠海発14:31の電車に乗ることができます。やれやれ、時間に追われるようでは、旅は楽しめません。一本早い船にして正解です。


 それにしてもお腹が空きました。駅の隣にあるコンビニエンスストアで何か買って食べようと思い、覗いてみると、おにぎりや弁当、パンなど、すぐに食べられるようなものはすべて売り切れていました。考えることは皆同じ。そして、国道沿いで駐車場もあり、港に一番近いコンビニとなれば、売り切れているのも納得です。
 辛うじてカップラーメンはありましたが、さすがに湯をもらって食べるほどの時間はなく、
「これは竹原で食べるしかないか」
と諦めて、電車に乗りました。


 竹原に着いたら、まずは観光案内処に行き、空港行きのジャンボタクシーの乗り場を確認します。
「いつもあの辺に停まってますよぉ」
と、なんとも頼りない返事でしたが、とにかく場所の確認はできました。


 それにしても、竹原は今でもたまゆらの町のようです。観光案内所には大きな看板。そして、商店街のあちこちにも、キャラクターの飾りがあります。テレビ版は2011年と2013年、OVAも2016年に完結してからもう5年が経っていますが、それでも、案内処には聖地巡礼用の地図が置かれ、英語版まで用意されていました。


 とりあえず、アニメ「たまゆら」に敬意を表し、アニメにも出てくる日の丸写真館を一枚カメラに収めてから町を歩くことにします。

 そういえば、確か街並み保存地区の酒蔵交流館にそば屋があったはず。大好きな日本酒、藤井酒造さんの誠鏡を一杯やってからそばを食べるなんて、考えただけでも最高です。


 しかし、行ってみるとそばはなんと売り切れて、店はもうすでに閉店していました。他の店も、15時にもなれば店を閉めています。
「しまった! やってしまった……」
 ここ竹原は江戸時代からの街並みが保存されている町。その中には、コンビニエンスストアファミリーレストランも、ファーストフード店も存在しません。食糧を調達しようにも、店自体がないのです。


「昼食難民、か……」
 一応、街歩きをしようかとも思ったのですが、お腹が空いているといまひとつ集中できません。
「仕方がない。最後の手段だ」
 竹原には何度も来ているので、市役所のところまで行けばマクドナルドがあることを知っていました。世界中の旅先で、どうしてもごはんに困ったときに旅人を救ってくれる難民キャンプのような存在、それがマクドナルドなのです。朝早くから夜遅くまで、場合によっては24時間体制で旅人を受け入れ、腹を満たしてくれます。


 しかし、ここで考えなければならないのが、どれだけ食べるかということです。お腹は空いています。しかし、ここでガッツリ食べてしまうと、空港で食べる余裕はなくなってしまう。この何とも言えない二律背反に悩まされます。
 さらに、時間も微妙です。今からハンバーガーを食べて街並み保存地区に戻ると、観光はできなくはないのですが、すぐに駅に戻らなければならなくなります。観光をするには、ほぼタイムオーバーという時間なのです。
 ここは、なんとも残念ですが仕方ありません。これはすべて、大久野島へ渡る前に食糧を調達しなかった私の判断ミスです。観光地では、食事の選択ミスがその後の行程に大きく影響し、旅の内容を左右することがあるのです。
 結局、竹原に観光に来たというよりは、竹原のマクドナルドに来たという格好になってしまったのでした。街並み保存地区に戻るには短いけれど、マクドナルドで過ごすには少々長いという中途半端な時間。その時間は、旅のメモを整理することに充てて、少しでも旅人らしい時間を過ごすことに努めましょう。


 駅まで戻り、17:05発のジャンボタクシーを待ちます。昨日予約をしているので、定員オーバーで乗れないということはありません。しかし、私の他にジャンボタクシーを待っている人がいないというのは少々心配でもあります。
 竹原からの空港へ行くジャンボタクシーには、私の他に女性の乗客が乗っていました。空港までは結局2名での運行。いくらコロナ禍とはいえ、これで採算がとれるのだろうかと、いささか心配になってきます。
 車内には、この5月から、運賃をこれまでの1,000円から1,500円に値上げしたことを知らせるポスターが掲示されていました。20年間据え置いた運賃を上げることへの理解を求める内容でしたが、少なくとも20年間はこの国が経済的に成長できていないことの証でしょう。値上げを歓迎するわけではありませんが、値上げのない、もしくはできない時代がこう長く続いているという日本の経済は本当に大丈夫なのかと心配になるのでした。