お出かけ日記ANNEX

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5/4(火・祝) 松山・広島・うさぎ島 瀬戸内まんきつ海の旅4日目~その4~

 広島空港に着いて、ターミナルビルで土産を買おうと思ったら、なんだかお店が減っているようです。なんと、地元の百貨店の一つ、天満屋のショップがなくなっていました。

「うわぁ、天満屋さんもか……」

 旅行関連業界の不況はここまで来ているのです。そのうち、空港で食事も買い物もできない、そんな時代が来てもおかしくないのかもしれません。

 人類の歴史は、戦争や大きな災害によって、当たり前のことが当たり前でなくなることを繰り返してきました。

「そんなことは当たり前だ」

と、頭ではわかっているつもりでしたが、私が経験してきたことは直接的なものでなく、間接的なこと。どこか遠いところで大変なことが起きて、それが自分にも多少影響するといった程度だったのでしょう。でも、今回は違います。世界中の誰もが、この病に感染する危険性と隣り合わせで暮らしています。そしてその影響は、これまでの戦争や災害よりもよりはっきりとした形で、自分の生活に影響を及ぼしているのです。

 今回のコロナ禍は間違いなく、歴史上に名の残る戦争や災害と同じレベルの出来事であるはずです。その中で世界的体育行事を強行しようとする人たちの考えは、私には理解できません。

 お土産を愛用のトートバッグに詰めて、手荷物カウンターで預けようとすると、係員が、

「紙の搭乗券を発券しましょうか?」

と言ってくれました。

「ありがとうございます」

 スマートフォンでピッとやるのは便利なようで、あの画面をいちいち出すのは少々面倒です。時々、カウンターで申し出て紙のチケットを発券してもらうこともあるのですが、手荷物のカウンターで、しかも私の予約している座席をチェックし、

「窓側で、お隣もいらっしゃらないようなので、このまま発券しますね」

と、ちゃんと確認までしてくれました。JALにはあまり乗らないのですが、この若い男性係員の対応が素晴らしく、一気にJALの好感度が上がったのは言うまでもありません。

 広島空港でいつも食べるのはお好み焼き。しばらくは食べられなくなる広島の味を、最後に空港で満喫するのが恒例です。しかし、先ほどのマクドナルドがまだお腹に効いていて、お好み焼きは入りそうにありません。

 ターミナルビルのレストラン街を歩いていると、そば処 菜の里というお店の前に、「アルコールセット」という看板が出ているのが目に入りました。ビールとおつまみのよくあるセットで、値段も税込990円と、空港にしては良心的です。早速飛び込んで、小いわしの天ぷらとビールをセットで注文します。

 まず、生ビールが先に出てこないのが嬉しいところ。こういうセットはたいてい生ビールが先に出てきて、少しビールが減ったところにつまみが来ることが多いのですが、ここはちゃんと食べ物とセットで出てくるところに好感をもちました。

 塩が添えられた小いわしの天ぷらを口に運ぶと、その揚げ具合が絶妙です。ふんわりとして油っぽくなりすぎず、小いわしの味を存分に楽しむことができます。

 当然、こうなるとビール1杯だけでは帰れません。学生さんでしょうか。若い女性の店員さんに、

「天ぷらが美味しかったので、追加注文をさせてください」

と言うと、にっこりと笑顔で受け付けてくれました。

 たこの天ぷらと日本酒を冷やで。日本酒の名前は聞かなかったのでわからないのですが、口に含むと米の香りが豊かに広がる、西の方の酒のうまさを感じます。そして、このたこの天ぷらも絶品。固くなりすぎず、たこの歯ごたえを楽しみながら味わうことができます。

 旅先でこんな店に出会えるとは、なんという幸せでしょう。今まで何度となく広島空港を利用し、ここにそば屋があることももちろん知っていたのですが、こんなにも素敵な店だとは知りませんでした。次回からはぜひ、贔屓にしたいところです。おかげで大満足で飛行機に乗ることができます。

 一杯やった後の水分を摂るためにカードラウンジでくつろいでいると、クラスJの募集のアナウンスが入りました。たった1,000円の追加料金で、広々としたゴージャスなシートに座れるのです。

「窓側、通路側ともにご案内できます」

と言われ、少々心が動いたのですが、隣が空いている窓側席を予約しています。広々とした座席より、隣がいない2人席で十分。これは、変更の必要はありません。

 機内に入ると、男性のCAさんがアナウンスを担当していました。男女の垣根がなくなったのでしょうか。それとも、国際線の便数が減って、普段は国際線を担当している男性CAが国内線に乗務しているのでしょうか。女性が多い業界で活躍する男性にエールを送りたくなるのは、自分も女性が多い業界で勤めていたからかもしれません。

 日系の航空会社に乗っていると、CAさんが女性ばかりなのが気になっていました。CAさんの保安要員としての役割に、女性も男性もありません。

 機内には他にももう1名、男性CAが乗務していました。海外では当たり前のように男性CAもいるので、日本でもぜひ、もっと活躍してほしいものです。

 JAL266(JA655J)は、19:51、定刻より若干早く3番スポットを出発。20:00、RWY28から西へ向けて離陸しました。遠くに広島の街の灯を見ながら、旋回します。

 大阪上空で機長からのアナウンスがありました。操縦室からのアナウンスは聞き取りにくいことも多いのですが、今日のアナウンスは満点。しっかりと聞き取れることは、乗客の安心にもつながるはずです。

 20:39、ベルトサインが点灯しました。沼津あたりの灯りが見えて、そこからは海岸線に沿って灯る家や道路の明かりで、伊豆半島の形が闇の中に浮かび上がります。

 千葉上空に差し掛かると、京葉道路や湾岸の国道には自動車のライトが長く連なるのが見えます。

「必要な移動だって、あるよなぁ」

 そんなことを思っているうちに、21:02、RWY22に着陸。21:10に17番スポットに到着し、自称、不要不急ではない松山、広島の旅が終わったのでした。