お出かけ日記ANNEX

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8/4(水) 初めてのお遍路 酷暑の四国一周の旅5日目~その1~

 ゲストハウスに泊まった日は、たいてい共用のフリースペースで旅のメモをまとめることにしています。テーブルにメモ帳と地図、行った先でもらったパンフレットなどを広げ、無料のお茶やコーヒーなどをいただきながら、旅の振り返りをします。もちろん、ビジネスホテルにもそれぞれの部屋に机があり、無料でお茶も用意されているのですが、それでも広いスペースでのんびりするのが好きなのです。
 このゲストハウスでは7:00から朝食がいただけるというので待っているのですが、スタッフも客も、7:00になっても誰も来ません。
「7:30まで待ってみて、だめだったら諦めよう」
 お遍路の朝は早く、いつまでもここでこうしているわけにはいかないのです。
 7:17、若い男性スタッフがやってきて、ようやく朝食の準備をしてくれました。昨日、サッカーを観ていた1人です。
「試合、どうなりましたか?」
 私が見かけた時は同点だったので聞いてみると、どうやら日本は負けてしまったとのこと。それでも、スペインを相手によく戦ったと彼は評していました。

 朝食は、各自で食パンにハムとチーズを挟んで、ホットサンドメーカーに入れて作るらしく、パンの箱には、「2Slices per person please」と書かれていますが、英語がわからないフリをしてたくさん食べてしまう人がいないかと、つい心配してしまいます。食パンは厚さが2種類あったので、薄いのを2枚使って朝食としました。お腹が空けば、どこかでまた食べればよいのです。


 8:00過ぎにゲストハウスを出発したはいいものの、駐車場から車を出してからベッドに忘れ物をしたことに気づき、慌てて取りに戻ります。結局、出発したころには8:15を過ぎていました。
 室戸岬を経て高知へ至る国道55号線は、徳島市内でやや混雑しているようです。そこはおとなしく、車の列についていきます。
 途中、国道から県道130号線に入ったあたりでガソリンスタンドを見つけて給油します。このガソリンスタンドでは、今日は給油した人にボックスティッシュがプレゼントされるらしいのですが、それは9:00以降の給油に限るとのこと。時計を見ると、あと10数分あります。別にティッシュが足らないわけではないし、むしろ予備まで積んでいるくらいなのですが、なんとなく悔しいと思ってしまうのが貧乏性。いかんいかん。お遍路の十膳戒、不慳貪(ふけんどん 欲張らない)を心がけなくてはなりません。
 23番薬王寺は、鍵盤ハーモニカ繋がりで仲良くしていただいている方の故郷だといいます。こんなところで繋がるのも、不思議なご縁です。


 広い駐車場に車を停めて寺へ。女厄坂、男厄坂を上がって本堂へと向かいます。こうやって上まで来ると、家々の向こうに海が見える風景がなんとも素晴らしい。


 その方にも下のうどん屋さんを勧められたのですが、あいにく開店前で食べることができず。しかも、ここから次の札所まで約75km。かなり離れています。何か食べておいた方がよいという判断で、コンビニでポテトチップスを買い、車内で食べることにしたのですが、あっという間に完食。ポテトチップスは保存食にならないということがわかりました。
 国道を走っていると、浅川湾の向こうに太平洋が広がるのが見えました。青い空、青い海。絵に描いたような夏休みの光景です。


 室戸岬に近づくにつれて、あたりの民家がなくなり、寂しい風景になりました。それに、雲行きが怪しくなってきています。行く先に見えている山は雲の中。


「向こうは天気、悪いのかなぁ」
 そんなことを考えているうちに、雨が降ってきました。雨の中の寺巡りなんて、考えたくもありません。それに、次の24番最御崎寺があるのは室戸岬。駐車場からすぐに寺に辿り着けるとも思えないのです。
 走っていると、集落が見えてきました。そこに、きれいな学校らしい建物が見えます。
「こんなところできれいな校舎なんて……、ん?」
 そういえば、室戸に廃校をリノベーションした水族館があると聞いたことがあります。ただ75kmを走るだけではもったいない。ここで休憩がてら、雨宿りをすることにしましょう。


 その名もむろと廃校水族館の駐車場に着くと、雨は本降りで、傘がないと困るほど。この旅初めての本格的な雨です。でも、ここまで来て傘をさすというのも悔しい。
「チケット売り場までなら、なんとかなるだろう」
ダッシュしてみたところ、なんと入り口へはもう一度外に出なければならない造りになっていました。やれやれ、また雨に濡れなければなりません。


 学校の職員玄関だったであろう入り口を入ると、入場券に「登校」と書かれたスタンプを押されました。階段を上がると、学校の手洗い場を活用したタッチプールがあります。なるほど、生き物を観察するにはちょうどよい高さです。

 教室の真ん中には大きな水槽が置かれ、ウミガメが泳いでいます。どこかのテーマパークのように会話をすることはできませんが、なかなか見応えのある展示です。


 隣の教室では、「あたらしい海の仲間たち」というタイトルで、海の中のゴミを展示していました。こうやって展示されていると、人間でさえ、「あれ? 何かの生き物かな?」と思ってしまいます。それによって命を落とす海の生き物がいるということを訴える、なかなかシュールな展示です。


 目玉の25メートルのプールのウミガメは、プールの隅でじっとしていて動いていませんでしたが、それは生き物なので仕方のないところ。でも、廃校の活用方法としては面白いと思います。

 入館料は、大人600円。水族館にしては格安ですが、意外にも充実した展示に大満足なのでした。

 広島にいるときに知り合った某市の市議さんが、その自治体で古くなった小学校の校舎を建て替える話を聞きました。それによると、統廃合になるなどして小学校としての役目を終えた後、校舎をどう活用していくかを考えて設計するというのです。そこでは高齢者を対象とした施設の利用を想定していたようですが、学校が学校でなくなってしまうというのはやはり寂しいもの。しかし、学校の雰囲気を残しながら社会教育施設として残していくというも一つのやり方だなあと思うのでした。