お出かけ日記ANNEX

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8/5(木) 初めてのお遍路 酷暑の四国一周の旅6日目~その2~

 高知の有名人といえば、広末 涼子……ではありません。誰もが思い浮かべる人といえば、坂本 龍馬でしょう。
「なんで桂浜に龍馬像があるのだろう」
 浦戸大橋を渡りながらそんなことを考えたのですが、後で調べてみてもはっきりとした理由が見つかりませんでした。次回、高知を訪れるときのテーマにするのもよいでしょう。
 龍馬像には行きませんが、桂浜からの太平洋を望みます。ここにいると、世の中のいろんなことがちっぽけに思えてくるのは龍馬のせいでしょうか。それとも、太平洋の大海原のせいでしょうか。


 海から少し入ったところに、若宮八幡宮がありました。土佐神社もそうでしたが、ここ若宮八幡宮も長宗我部 元親ゆかりの地。境内で「大河ドラマに長宗我部 元親を」といった文言を見かけましたが、戦国武将にまったく興味のない私。そればかりか、大河ドラマもまったく見ていません。もっとも、昨今は戦国武将ばかりでなく、1964年の東京オリンピックや近代日本の礎といったものもテーマになるようですが。


 33番雪蹊寺へ行くと、境内で唐辛子を売っている人を見かけましたが、コロナ禍で人出が確実に減っている中、一体どれほどの売り上げがあるのでしょう。駐車料金は志納制とのこと。気持ちだけ料金箱に入れることにします。


 次の札所の34番種間寺までは、のどかな田園風景の中を走ります。こういった風景に夏休みらしさを感じるのは何故でしょう。プールではしゃぐ子どもたちより、大荷物を持って駅や空港を行き交う人々の姿より、田畑が広がりその奥に山が見え、上には青い空と白い雲が広がる。そんな誰もいない風景に夏休みらしさを感じるのは、メディアの影響なのでしょうか。だとすれば、いつ、どこでそういったものを刷り込まれたのでしょうか。

 お詣りを終えて、駐車場横の自動販売機のところで、地元の方に「ご苦労さま」と声をかけられました。考えてみれば、私が好き好んでこの猛暑の中、寺巡りをしているに過ぎないのです。それなのにこの国の人たちは、「ご苦労さま」のひと言で他人の大変さを分かち合おうとするのです。お接待という文化も素敵ですが、ほとんどの日本人がもっているこの「ご苦労さま」という感覚も、大事にしていきたいと思います。
 本当は冷たいジュースが飲みたかったのですが、何度100円玉を入れても戻ってきてしまうので、飲み物が飲めないまま、先へ進むことになったのでした。もちろん、途中で国道沿いのコンビニに寄ったのは言うまでもありません。
 35番清滝寺は、またも山の上。細い山道を延々と上がり、車をどこへ止めたら良いのかと思案していると、バイクで登っていたジイさんに「ここだ」とばかりに手招きされました。


 境内に着くと、このジイさんに話しかけられたのですが、声がかすれていて聞き取りにくいのです。それでも一生懸命に滝についての説明をしてくれるのです。断るにも断りづらいのですが、最後は、
「じゃあ、お詣り行きますので」
と切り上げさせていただきました。
 ここも、納経所で寸志を求められました。山の上の寺は駐車料金を取るっていうことでいいのでしょうか。


 次の青龍寺まで、またしばらく走ります。海沿いの道に出ると、海の青さに驚くほどです。宇佐漁港に沿って走る時にずっと車窓から海が見えるのですが、見ているだけでも気分は爽快。ずうっと走っていられそうな気さえしてきます。
 36番青龍寺は、本堂まで長い石段が続きます。私の前をひと組の男女が上がって行くのですが、女性の方がけっこう年上に見えます。親子までの歳の差ではなさそうなので、二人は一体どんな関係なのだろうとついつい邪推をしてしまう私は、悟りにはほど遠い普通の人間です。


 暑い中の階段の登り降りはなかなかしんどいもの。登る時だけでなく、降りた時にも冷たい手水で手を冷やし、どうにか顔も洗ってしまいました。
 今日はここで打ち止めとして、宿を取っている高知市内に戻ることにします。来た道をそのまま戻るのは面白くないので、少し進んで浦ノ内湾を回ることにしました。やはり高知で見る海は、他で見る海よりも青いような気がします。


 国道56号線高知市に戻ります。効率的に札所を回るのであれば、もっと先へ進んで泊まったほうがいいのでしょうが、高知のひろめ市場に行くことをこの旅の楽しみにしていたので、多少後戻りすることにはなりますが高知1泊は譲れない一線なのです。
 今夜はゲストハウス泊なので、まずは銭湯を探します。だいたいのゲストハウスにシャワーはあっても、大浴場はまずありません。寺を巡って汗をかいた体には、風呂が必須なのです。
 スマートフォンで検索すると、高知城近くの銭湯が見つかりました。カーナビに入力すると、住宅地の中へどんどん入っていきます。
 清水湯さんは昔ながらの銭湯のようです。入り口にかかる「本日お湯あります」の看板が、すでにこの後の爽快な気分を想像させてくれます。


 番台で入浴料400円を払って中に入ると、お客さん同士はみんな顔見知りらしく、あいさつや世間話が飛び交います。
 体を洗うのにカランの湯を出すと、熱い! これは熱湯じゃないかと思うような温度です。洗面器にお湯と水を1:3の割合で入れてちょうどよい温度になるなんて、まるでカルピスではありませんか。
 風呂から上がると、車を出すのに別の車を動かすと言って、番台のおじさんが出てきました。私の車の後ろに別の客の車を停めさせているので、動かしてくれるようなのです。
「俺がやろうか?」
と、別の客から声がかかります。こんな風に地域に紛れ込むことも、旅の楽しみの一つなのでした。