お出かけ日記ANNEX

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8/6(金) 初めてのお遍路 酷暑の四国一周の旅7日目~その3~

 宿毛を過ぎると、高知県から愛媛県へと入ります。以前、クッキーハウスさんつながりで知り合った方から、愛媛のこのあたりの情報をいただいていました。愛南町の話だと聞いていて、
「そういう名前の町があるんだ」
と思っていたのですが、近づくうちに気がつきました。
「ああっ! 御荘のことだったのか!」
 以前、御荘にの南レクに展示されている紫電改を見に来たのを思い出しました。やはり、平成の大合併で地名の迷子になっていたのでした。
 40番観自在寺からはいよいよ伊予の国。八十八箇所も半分が終わったような気がします。霊場会のサイトによれば、ここ観自在寺は1番霊山寺からもっとも遠くにあり、「四国霊場の裏関所」呼ばれるとありました。半分が終わったと思うのも、あながち間違いではないのかもしれません。しかし、札所の数はまだ半分に到達していないばかりか、難所とされる札所がいくつも残っています。この後も一つひとつ、地道に巡っていくことにします。


 納経所が本堂の中にあるのは、6番安楽寺以来です。何か悪いことをことをしているわけではないのですが、ちょっと緊張しながらお詣りしました。
 境内には、托鉢の姿をしたタヌキの置き物がありました。こんなものを置かれたら、ついついお金を入れてしまいます。他にも、十二支守本尊八体仏という石仏が並んでいて、一つひとつの仏さまに水をかけていきました。何か特別な願い事があるわけではないのですが、こういったことを続けていると、不思議と気持ちが落ち着くのです。


 車に戻ろうと仁王門をくぐると、門前でお互いに一眼レフで写真を撮り合う夫婦がいました。
「一緒にお撮りしましょうか?」
と声をかけたのですが、女性の方が丁寧に遠慮されました。
「声をかけて、悪いことをしてしまったかなぁ」
 もしかしたら、一緒に写真に写りたくなかったのかもしれない。そんなことを考えていると、東京のナンバーの私の車を見て、
「どのくらいまわられているのですか?」
と聞かれました。よかった、邪魔をして気を悪くしたわけではなかったようです。
「2日に1番霊山寺を出発して、5日目でここまで来ました」
と話すと、驚いておられました。それは、軽自動車で回ってきたことに対してなのでしょうか。それとも、5日間という日数が短いと思われたのでしょうか。
 車でお遍路をする方々は、いったいどれくらいで回るのでしょう。旅が長くなればなるほど、宿泊費もかかります。車中泊で巡るという強者もたくさんいるようですが、それでも食費がゼロになるわけではありません。お遍路というのは、なかなかお金がかかる旅なのです。
 国道56号線をそのまま行けば、今日の宿泊地、宇和島です。次の札所までは50kmもあるので、寺へ行くのは明日の朝にしましょう。
「菊川の山田のじゃこてんも食べてね」
 その方からは、こんなメッセージもいただいていました。まるで、名探偵コナンの暗号のようなメッセージです。でも、今は便利な世の中。
「菊川 山田 じゃこてん」
スマートフォンに入力して検索すると、山田商店というお店がヒットしました。カーナビに住所を入力して、行ってみることにします。
 国道沿いに店はあったのですが、あまりに店っぽくなかったので、思わず一度通り過ぎてしまいました。カーナビで通り過ぎてしまったことに気づいて、少し戻ります。
 お店に入ると、オヤジさんが出てきて、「いきなり余所者が何をしに来た?」といった雰囲気を醸し出していたのですが、
「御荘出身の方に聞いて来ました」
と言うと、オヤジさんの顔がほころびました。
「うちのは塩味しかついてないけど」
と言って勧められたじゃこ天は、はがきの半分くらいの大きさで、一枚43円。安い!
「2枚……、いや、3枚ください!」
 食べてみると、味が濃くてとても美味しい。これと比べたら、今まで食べていたじゃこ天はなんだったのでしょう。まるで、いりこをすりおろしたかのような濃厚な味わいで、10枚くらいならペロリと食べられたかもしれません。


 あんなにいい天気だったのに、宇和島に近づくにつれて雲が増えてきました。やはり台風は確実に近づいているようです。
 16:41に今宵の宿である宇和島リージェントホテルに到着。こちらもなかなかレトロで、昭和感のあるビジネスホテルです。安い物件を探していると、時々こんな掘り出し物に出会えるのが楽しいのです。


 宇和島と言えば、鯛めしです。どこで食べようかと思いながら検索してみるのですが、そうしているうちに外は雨が降ってきました。遠くまで行くのは億劫です。
 そう思っていると、ホテルの2階にお店が入っているではありませんか。渡りに船とばかり、行ってみることにします。


 鯛めしを頼むと、係の女性が、
宇和島の郷土料理でございます」
と言って、嬉しそうに笑顔を見せてくれました。地元の自慢の料理を楽しみにやって来る旅行客を悪く思うはずがありません。


 前回愛媛に来た時に気に入った日本酒、野武士もいただいて、夜ごはんに大満足したのでした。
 にもかかわらず、部屋に戻ると、ついつい高知で買っておいた土佐鶴に手が伸びてしまいました。乾きもののつまみと一緒に美味しくいただきます。


 いよいよ明日はお遍路最終日。どこまで行けるかと考えながら、軽く計画を立ててみるのでした。