お出かけ日記ANNEX

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8/7(土) 初めてのお遍路 酷暑の四国一周の旅8日目~その5~

 高松道善通寺ICで高速を降りると、なんだか四国の旅がもう終わってしまったかのような気がするのはなぜでしょう。この後お会いするトイピアノ奏者けいぴゃんのライブのときにこちらに来たことがあるからでしょうか。でも、それなら以前通ったことがあるところは今回の旅で何か所もあります。その時には、四国の旅が終わるという感覚はなかったのです。こういった感覚というのは不思議なもので、旅を終えると忘れてしまいます。だからこそ、こうやってお出かけ日記をつけておくと、後になって振り返ることができるのです。
 19:40、丸亀のけいぴゃん実家に到着しました。こんな時間ですが、けいぴゃんのお父さんとお母さんの歓待を受けます。
「夕飯は食べたのか?」
「風呂は? 先に入るか?」
「(車に)荷物積むのに、鍵、預かろうか?」
などなど、けいぴゃん父に矢継ぎ早に聞かれます。今日はこの後ゲストハウスにチェックインしなければならないことや、車内の片づけをしないと楽器が積めないことなどを説明し、とりあえずけいぴゃん父の車ティアナでゲストハウスまで送っていただくことで落ち着いたのでした。
 ゲストハウスへ行く途中、銭湯を見かけました。
「風呂は銭湯を利用するように言われているんです」
と伝えると、
「ここまで来るんか?」
とけいぴゃんのお父さんに驚かれ、
「お風呂に行くときは、車で送迎します」
とまで言っていただきました。なんというVIP待遇でしょう。


 丸亀ゲストハウス ウェルかめは、丸亀商店街の中にありました。チェックインのときに、
「Booking.comで予約されましたか。次は直接、お願いします」
と言われました。悪いことをしたのかと思い、すみませんと謝ると、
「いやいや。うちは手数料を払わなければなりませんから」
と、なかなか正直なオヤジさんです。
 ひと通り館内を案内された後、
「お風呂やさん、20:50頃には占めるので、急いでください」
と言われました。教えられた銭湯「城北温泉」は、やはりけいぴゃんのお父さんの車から見たところ。ゲストハウスの自転車を借りて行くことができるようです。
 銭湯へ行こうとすると、
「お酒、好きですか?」
と宿主のオヤジさんにそう聞かれたので「ハイ」と答えると、
「いいお店紹介します」
と言います。これは期待大です。
 城北温泉はおばあちゃんが番台に座る、昔ながらの銭湯です。おばちゃんは風呂上がりの男性客と一緒に、男湯と女湯を隔てる壁の上に置かれたテレビで、東京オリンピックの野球の決勝戦を観戦していました。


 洗い場で体を洗おうとすると、湯の方のカランからは熱湯が出てきました。
「うおぅっ! ここもか!!」
 高知の銭湯でも熱湯が出てきてびっくりしたのですが、四国はどこもこうなのでしょうか。
 私が脱衣場に戻ると、私が入ったときに湯船の中にいた大学生くらいの若い男性グループも上がろうとしていました。すると番台のおばあちゃんが降りてきて、脱衣場の灰皿の準備をしていました。きっと彼がここでタバコを吸うことを知っていて、先に用意しようというのでしょう。今の時代にまだ、脱衣場でタバコが吸えるとは。やはり、昔ながらの銭湯です。
 風呂から上がれば、楽しみなのがビールです。宿に戻り、早速オヤジさんに居酒屋へ連絡してもらいます。嬉しいことに、ゲストハウスから歩いてすぐのところにあるらしいのです。
 三太郎というその店は、骨付き鶏の超有名店、一鶴本店のすぐそば。そこでうまい骨付き鶏を出すというのですから、楽しみです。


 店に入ると、すでにカウンターの一番手前に私の席がセッティングされていました。まずは生ビールを注文。風呂上がりの生ビールは最高です。
 早速、骨付き鶏はひな鶏、親鶏のどちらがよいかと聞かれました。
「食べやすいのはひな鶏で、美味しいのは親鶏です」
と説明されたら、当然親鶏を注文するしかありません。
「カンパチが一人分、できますよ」
 厨房に戻った大将がそう言うので、もちろん注文。あれ? 骨付き鶏がうまい店じゃなかったかな? 看板には「やきとり」とも書かれていましたが、魚も美味しいのでしょうか。
 お通しのなすの煮浸しは紫色が美しく、少し甘めの味つけが美味しくてお替わりしたいくらいです。一緒に出てきた千切りキャベツも、つまみにちょうどいい。


 先に出てきたのは、もちろんカンパチです。身の甘さといい歯応えといい、完璧です。私が「美味しい」と言うと、大将は、
「地の魚です」
と笑顔で答えます。


 なすも魚も、そしてこれからいただく親鶏も、自分が自慢できるものをお客さんに提供している居酒屋。
「いい店を紹介してもらったな」
と、この時点ですでに大満足です。
「お遍路、回っているんですか。すごいですね」
 カウンターでビールをいただいていると、目の前の焼き担当のお兄さんに話しかけられました。初めてのお店ですが、こんな風にお店の方と世間話をしながら飲むビールは最高で、あっという間にジョッキが空になってしまいます。まだ骨付き鶏が焼き上がっていないのに、お替わりが必要です。
 やがて親鶏が焼き上がりました。
「食べやすいように切りましょうか?」
と、焼き担当のお兄さんが申し出てくれます。なんと嬉しいサービスでしょう。

 まず、香りだけで白ごはんが食べられそうです。ビールにピッタリの味つけは、以前食べた骨付き鶏よりは控えめ。ですが、決して味が薄いわけではありません。スパイシーさとい一緒に、肉のうま味が存分に楽しめるのです。お腹に余裕があれば、お皿の脂を白ごはんにかけて食べたいほどでした。
 食べ物の美味しさもさることながら、居心地の良いお店に大満足。いつもはこんなにビールばかり飲まないのですが、この夜は日本酒を頼むことなく、楽しく美味しく丸亀の味を堪能したのでした。