お出かけ日記ANNEX

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8/8(日) 初めてのお遍路 酷暑の四国一周の旅9日目~その1~

 そもそもこの旅は、トイピアノ奏者けいぴゃんの実家から東京まで、楽器を車で運搬するためのものです。9日目にして、ようやく旅のメインイベントが始まります。
 6:30頃、けいぴゃん実家そばの駐車場に向かいます。お遍路の旅をしているうちに車の中はいろいろと散らかりましたが、30分もあれば片づくでしょう。
「8:00頃に出発しましょう」
なんて話していたので、7:00すぎから楽器の積み込みができれば間に合いそうです。それならばと思い、7:00前に連絡を入れてみたのですが、まだ準備ができていないと言われました。
 結局、積み込み作業が始まったのは7:30すぎ。楽器の積み込み自体は10分ほどだったでしょうか。でもけいぴゃんはまだ自分の準備が終わらないということで、再び実家の中へと戻ってしまいました。
「お茶でもどうぞ」
とお父さんが促します。一応遠慮はしてみるものの、お父さんは玄関を開けて、
「どうぞ」
と待ち構えています。もう完全にお父さんのペースです。結局、準備が終わって出発したのは8:08のことでした。
 朝ごはんは、元うどんやさんだったというお父さんおすすめのうどんやさんに行くことになっていました。お父さんが運転する日産ティアナの先導で向かうと、あちこちにうどん屋さんの看板が立ち並び、どれが目当ての店だかわからなくなるほどです。お父さんは、
「丸亀では、石を投げればうどんやに当たる」
なんて言っていましたが、その通りかもしれません。


 着いたお店は、よしやといううどんやさん。人気店らしく、駐車場の入り口には整理員が立っています。よくよく見てみると、駐車場の車は県外ナンバーばかり。八王子、相模、大阪、山口……。地元の香川ナンバーは、探さなければ見つかりません。
 いただいたのは、ぶっかけうどん。シンプルなのがうん、うまい。あっという間に平らげてしまいました。


「どっちで行くん?」
 うどんを食べながら、お父さんに聞かれました。四国と本州を結ぶルートは3つ。そのうち香川から東京方面へ向かうには、距離が短くて道路が空いているのは大鳴門橋明石海峡大橋で本州へ渡るルートです。でももう一つ、瀬戸大橋を渡るルートもあります。
「まだ決めていないんですよ」
「まぁ、好きな方にしたらええわ」
 お父さんと別れると、いよいよ東京への旅の始まりです。
「よし。東京へ向かうぞ!」
 気合い入れて、これからの長旅に備えるのでした。
 坂出ICを入ると、すぐにどのルートで行くかの選択を迫られました。ここで道が二手に分かれるのです。
「じゃあ、瀬戸大橋で行きます」
 四国に来るときは明石海峡大橋を渡ったので、瀬戸大橋に決めました。時間は少し余分にかかりそうですが、それほど大きな違いはないでしょう。


 瀬戸大橋に差し掛かるあたりで、けいぴゃんがTwitterで生配信を始めました。そのトークは、相変わらずのマイペースっぷり。運転しながらけいぴゃんのトークにツッコミを入れてみるのですが、手ごたえはありません。糠に釘というか、のれんに腕押しというか、ツッコミが彼女に効いている実感がないのです。
 山陽道に入り、岡山県から兵庫県に入ったところで、けいぴゃんが再び、
兵庫県に来ました~」
Twitter配信を始めました。このままいけば、県境を跨ぐたびに配信をするのかもしれません。
 山陽姫路東ICで山陽道を下り、バイパスへと向かいます。電光掲示板によれば、加古川バイパスの加古川橋で事故渋滞が起きているとのこと。少し進むと、確かに渋滞が始まりました。それも、加古川橋からはずいぶん手前です。
 そこで、バイパスの渋滞を避けて国道250号線へ迂回します。明石の川崎重工あたりで多少混んだものの、当初の予定より少し遅れたくらいで山陽明石へ。わざわざ高速を降りてまでここへ来たのは、大好きな玉子焼き(明石焼き)を食べるためです。


 以前からお気に入りのお店、松竹さんは駅前にできたきれいなビルの中に移転していました。でも、店構えは以前の雰囲気そのままです。そして、店の前にはやっぱり長蛇の列ができています。相変わらずの人気っぷりです。
 並んでいる間にお店の方が注文を取り、席につくとすぐに出てきました。ふわふわの玉子焼きを、まずは出汁につけずにそのままパクリ。熱い! でも、これがうまいのです。

 それから、出汁につけてパクリ。出汁と三つ葉の香りも合わさって、また違う味わいです。


 私は1枚くらいペロリと食べてしまうのですが、けいぴゃんは朝のうどんがまだ腹に残っていると言い、
「ちいたろうさん、手伝ってください」
と、いくつか分けてもらいました。ありがたくちょうだいします。
「よし。東京へ向かうぞ!」
 あれ? 四国を出発するときにも同じことを言ったような気がしますが、それでいいのです。人生と同じ。何度も仕切り直しをして、何度も新たなスタートを繰り返していいのです。
 須磨で給油をしてから阪神高速に乗ります。ここは行きと同じ道を通ることになりますが、それは仕方ありません。
 当初、けいぴゃんは自分で東京まで走るつもりだったそうです。でも、周囲の人たちに危ないといって止められたとのこと。そこで、行きは私が楽器を運ぶことになりました。だから、西宮からの名神高速に入ったとき、
「まっすぐで走りやすそう」
と助手席で呟いたのです。
 さっき、県境を跨いだころで配信を始めたので、
「もう少ししたら、大阪ですよ」
と声をかけると、案の定、
「大阪に来ました~」
と、Twitterの生配信が始まりました。
「ほら、どこからどう見ても大阪らしいでしょ? この空とか、標識とか、道とか……」
 もう、言っていることがグダグダすぎて、ツッコミようがありません。正論をそのままぶつけることだけがツッコミではなく、そこから話を膨らませたり、展開させたりするのがツッコミの役割なのでしょうが、私ではまったく歯が立たないのでした。