お出かけ日記ANNEX

お出かけ日記(https://ameblo.jp/porori-h/)の別館です。

1/30(日) 疫病退散!元気をチャージしに別府Goの旅 2日目~その1~

 朝5時前に目が覚めたので、1階の内湯へ行ってみると、中は電気も点いておらず、誰もいません。朝から温泉をひとり占めするなんて、内湯がある宿に泊まったからこそできる贅沢です。
 宿からまっすぐ国道に出たところにファミリーレストランがあるのを昨日のうちに確認しているので、朝ごはんはここのモーニングにしましょう。ドリンクバーを飲みながら、今日の予定について考えます。


 別府には何度も来ているので、すぐに思いつくようなことはたいていやっています。地獄めぐりのバスに乗ったこともありますし、砂湯だって体験済み。だったら、まだ行ったことがない高崎山うみたまご、アフリカンサファリといった施設へ行って、動物を見るのもいいし、石仏を見に臼杵へ行くのも面白そうです。でも、この時間から動き出すと、どれをやっても中途半端になってしまいそうです。
「今、一番やりたいことは何だろう」
 そう考えると、まずは温泉に入ること。そして、とり天と冷麺を食べること。それなら、別府から動かない方がよさそうです。だったら、ゆめタウン別府で忘れ物の靴下を買い求めてから、温泉に入りに行くことにしましょう。


 ガイドブックには必ず載っている竹瓦温泉へ行って、受付で砂湯が空いているかどうか聞いてみます。ここの砂湯にも以前入ったことがあるような気がするのですが、自分が覚えていないのであれば、入ったことがないのと同じこと。だったら、行けばよいのです。


 脱衣場で浴衣に着替えて、扉の向こうの砂湯へ。半分ずつ使われるここの砂湯は、片方にはお客さんが何人か寝転んでいて、もう片方には湯が張られています。温泉で温められた砂ですから、お湯を含んでいてずしりと重い。それを若いスタッフが二人、畑を耕すようにしてお客さんの体に砂を乗せていました。


 私も砂の上に寝転ぶように言われ、手や足の先から順番に砂をかけてもらいます。体に乗せられた砂の重さと温かさが何とも心地よく、お湯に入るのとはまた違った気持ちよさです。
 砂湯に入るのは、15分。それがあっという間に感じられます。「もうちょっと砂の中にいさせてくれ」と思うほどです。けれど、スタッフの若い女性に教えられながら、体を砂の上でくるりと回転させて砂から上がります。砂の中よりも部屋の中の方が温度は低いはず。汗だってかいているので、体が冷えるんじゃないかと思うのですが、砂から上がってもまだポカポカ体が温かい。これが体の芯から温めるということなのでしょう。
 シャワーで砂を落として上がり湯に浸かった後、建物の反対側にある普通浴の温泉にも浸かります。砂湯の後だと、その爽快感は格別です。
 こうなるとぜひ、風呂上がりの1杯が欲しいところ。しかし、まん延防止等重点措置のせいで、竹瓦温泉の周りは閑散としています。大人向けのお店の呼び込みのおっちゃんが、空き地にいた野良猫と戯れていたくらいです。
 商店街のアーケードも、休業の店ばかりが目立ちます。今日は日曜日のはずなのに、観光客らしい人の姿はありません。
「これはもしかして、昼めし難民か?」
 慌ててスマートフォンを取り出し、とり天を食べさせてくれる店を検索すると、その名もズバリ、「とり天職人わたる」というお店を発見。
「だいたいこういう店って、クセが強いんだよなぁ」
 そう思いながらお店に行ってみると、昔は喫茶店かスナックだったのではないかといった店構え。黄色い幟に、「別府発祥 元祖昭和とり天 三代目の店」と書かれ、店のキャラクターの濃さがうかがえます。


 中が見えない黒いドアを開けると、カウンターだけの店内には客の姿はありません。
「消毒して」
と店主の声が聞こえたので、
「とり天、食べさせてもらいに来ました」
と言うと、心なしか店主の表情が和らいだ気がしました。
 店は、どうやらこのオヤジさんが一人でやっているようです。注文を受けると、オヤジさんは店の奥へ向かい、ほどなくとり天を揚げる脂の音が聞こえてきました。あの音を聞くと、余計にお腹が減ってきます。


 運ばれてきたとり天は、とってもきれいなキツネ色。一つひとつのとり天は思っていたよりも大きく、ひと口食べてみると、なんでしょう。味はもちろん美味しいのですが、とてもいい香りがします。


「美味しいです、これ」
 思わずそう呟くと、オヤジさんが、
「そうだろう」
と言って、美味しいのは当然だとばかりに胸を張ります。
 そこからは、オヤジさんのトークが炸裂。他の店のとり天はうちのをマネたニセモノだとか、のれん分けをした店しか本物のとり天を出していないとか。とにかく、自分のとり天には自信をもっているようです。他にも、まん延防止等重点措置の協力金の不公平さなど、オヤジさんのトークは止まりません。とり天を食べきったところで、お会計をお願いしました。
 定食にはしなかったので、店を出た後、シメに冷麺が食べたいところ。そこに、けいぴゃんから連絡が入り、別府ちゃんぽんがおすすめだと言います。添付されたリンクを開いてみると、店は歩いてすぐのところのようですが、行ってみると、入り口のところに張り紙がしてありました。

 そこには、「新店舗『うた乃総本店』にて1月25日より営業致します」と書かれています。添えられた略図には別府横断道路が描かれていて、歩いて行くにはちょっと遠そうです。行こうかどうかと迷ったのですが、ここで行かなければいつもの別府旅とまったく同じになってしまいます。
 旅には新しい出会いがつきもの。そうと決まれば、北浜のバス停へと急ぐのでした。