お出かけ日記ANNEX

お出かけ日記(https://ameblo.jp/porori-h/)の別館です。

3/20(金) 濃厚!大人の広島平和学習の旅 1日目~その1~

 それは、3月12日のこと。一緒に飲んでいた悪友の一人が、
「広島、行ってみたいんスよぉ」
と言いました。
 所詮は飲みの席での話。そのうち実現すれば儲けものくらいのつもりで、
「いいねぇ。いつ行くかい?」
と聞き返すと、
「次の3連休はどうですか?」
との返事。
「!?」
 旅の計画なんて、1か月前でも「えらい急な話だなあ」と思うところですが、今日は次の三連休の8日前です。
 実はこの頃、世間は新型コロナウイルスでいっぱいいっぱい。休校、休園、休館、中止、延期……。明るい話題なんて、一つも見つかりません。下手をすれば、自由に出歩くことだってできなくなるかもしれない状況でした。実際、この日からおよそ2週間後の25日には、小池東京都知事から外出自粛要請が出されるのですから、旅に出るにはギリギリのタイミングだったのです。
「よし。急だけど行くか!」
 それから宿ときっぷを手配したものの、新幹線の普通指定席は満席との回答。
「え? こんな時期に満席?」
と思ったのですが、取れないものは仕方ありません。グリーン車なら、金額は上がるものの席があるということで、今回はグリーン車を奮発することにしました。
 彼に、「広島に言ったことがあるか」と聞くと、高校生だか大学生のときに一度、行ったことがあると言います。それなら、今回はどんな旅にしたいかと聞いてみると、「せっかくだから、原爆の被害についても学びたい」という希望を伝えてくれたのですが、新型コロナウイルスの影響で、広島平和記念資料館は出発の時点で3月21日までの休館が決まっていました。当初は3月15日まで休館の予定でしたが、19日、21日と延長されてきたので、さらに延長の可能性もあります。もしかすると、資料館なしでの広島での平和学習になるかもしれません。
 しかし、そんな縛りがあればあるほど、旅の中身は充実するもの。
「それはそれで面白そうじゃないか」
 こうして、大人の広島平和学習の旅の企画はスタートしたのでした。
 念のため、出発までの二人の体調はともに良好で、旅を終えた後、厚生労働省が発表している新型コロナウイルス感染症の潜伏期間である14日間を過ぎても発症が見られないことから、今回のお出かけ日記を公開することにしました。今、世界中でこの病気に苦しんでいる人たちが回復されるとともに、自由に旅ができる日が一日も早く来ることを願ってやみません。


 東京駅8:51発ののぞみ83号は、自由席はガラガラ。なのに、後ろ半分の車両の指定席はかなり埋まっているのが不思議です。


 発車と同時に、まずは無事の出発を祝して缶ビールで乾杯。品川を過ぎてビールがなくなると、ウィスキーの水割りに切り替えます。国際線の飛行機では、お酒を持ち込んで飲むわけにはいきませんが、新幹線ならそこは自由。そのうえ、グリーン車です。シートが広いことに加えて、車内は空いています。
 後で考えてみると、大勢の人たちに囲まれずに移動ができたことは、ラッキーだったかもしれません。グリーン車しか空いていなかったのではなく、グリーン車が空いていたこと。それが、私たちが旅から帰ってからも元気でいられた一因かもしれないのです。つくづく、人間万事塞翁が馬だなと考えさせられます。
 やがて車窓には、美しい富士山が見えました。青い空と白い富士、これは幸先のいいスタートです。


 関ヶ原の手前までは覚えているのですが、そこからしばらくは夢の中。眠っているうちに、グリーン車ならではのサービス、おしぼりが置かれていたのに気がついたのは、姫路の手前。こうやってのんびり昼寝ができるのも、旅の醍醐味の一つです。
 12:48、広島駅に到着。まずは昼ごはんを食べたいところ。
お好み焼きを食べよう」


 駅前から電車に乗って比治山下で降り、広島にいた頃にお世話になったKAJISANのおばちゃんは、昨年の夏に来たとき、足が悪くてひと月休むといいっていたので心配しましたが、相変わらず元気に焼いていて、ひと安心です。


 いつものように鉄板の前に座り、へらを使っていただきます。私にとってはそれが当たり前すぎて、何も考えていなかったのですが、一緒に来ている彼は広島ビギナー。後で聞くと、鉄板で食べるのは初めてだったそうで、
「ちいたろうさんの真似をして、どうにか食べました」
と言っていました。


 おばちゃんの昔話も聞きながら、懐かしいお好み焼きをいただきます。材料はシンプルなのに、店によって、焼く人によって味が違うのは不思議です。
「わたしも原爆におうたけぇね。いつどうなるかわからんのよ」
と明るく笑い飛ばすおばちゃん。まだまだ元気でいてほしいものです。
 食べ終えると、広島ビギナーの彼は、
「いやぁ、うまかったぁ」
と大満足の様子。そして、値段を聞いてびっくりしていました。ねぎをトッピングして600円なんて、私もこんなに安くてうまい店、他に知りません。
 しかし、この街にはまだまだうまいものがたくさんあります。これが3日間にわたる食い倒れの旅の第一歩となったのです。