お出かけ日記ANNEX

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5/3(月・祝) 松山・広島・うさぎ島 瀬戸内まんきつ海の旅3日目~その1~

 旅先の朝はスッキリと目覚めること多い気がします。今日もスマートフォンの目覚ましよりも早い時間に起きることができたので、一日を有効に使わなければなりません。


 まずは洗濯から。ゲストハウスの洗濯機を覗いてみると、誰も使っていません。順番待ちをしなくていいのは、なんともラッキーです。
 今回の旅は、3泊4日の予定です。必要な着替えを全て持ち歩くには、少々厳しい日程。どこかで洗濯をしなければと思っていたのですが、こうやって宿で洗濯できると時間の節約になります。
 洗濯が終わるまでの間、共用のラウンジスペースで待つことにします。昨日のうちに、キッチンにあるコーヒー、紅茶は飲み放題だと聞いていたので、マグカップに紅茶を入れてテーブルに行くと、先客が2人。おしゃべりをしていました。私も、おしゃべりに混ぜていただくことにします。
 ラウンジスペースにいたのは、私と同い年くらいの男性と、私より年上だと思われる女性。2人はここで出会った旅人同士のようです。長野から来たという女性は昨日、宮島に行ってきたのだとか。今はこんな時にもマスク必須。お茶を口に運ぶ時だけマスクを外すのは、新しい旅の様式というものでしょうか。
 松山から来たという男性は、長くここに泊まっているのか、それともよく広島に来るのか。女性にいろいろアドバイスをしています。元広島市民の私としては、少々マニアックなことを言いたくもなりますが、そこはぐっとこらえて、旅人の会話に参加することに徹します。
 それにしても、このゲストハウスの中はどこもかしこも英語だらけ。たまに日本語が併記されているものもあるといった具合です。英語の案内によると、衣類の乾燥は外のコインランドリーを使うことを勧めています。最近ではどこでもコインランドリーを見かけるので、今日の移動の間にどこかで乾かすことができるでしょう。


 女性は、今日は平和記念公園へ行ってから新幹線に乗ると言っていました。男性は、今日はアウトレットを覗くつもりだそうです。私はといえば、今日は全くのノープラン。ですが、知らない街ではないので、思いつきでぶらりと歩いてみることにしましょう。


 相生橋を渡り、原爆ドームへ行ってみます。元安川は、まるで鏡のように静かです。前回来た時、ドームは保存工事中でした。工事が終わったドームは、鉄骨が以前のピンク色ではなくなり、錆が剥き出しになったようなのような茶色に変わっています。


 今日は市内を歩くことに決め、本通から乗った広電の運転手さんから電車の一日乗車券を購入。以前と変わらず、使用する日をコインで削る時には、間違えないようにとちょっと緊張します。


 まずはJALで購入したクーポンで朝食をいただくため、鷹野橋へ向かいます。何か所かの使える店舗のうち、大好きなルーエぶらじるさんをチョイス。戦後まもなく創業し、モーニング発祥の地とも言われるお店です。お店の方に、準備が整うまで入り口の所の椅子に座って待つように言われましたが、待つ間もなく席に案内されました。


 パンもコーヒーももちろん美味しいのですが、中でも美味しかったのが目玉焼き。塩加減でしょうか、焼き加減でしょうか。材料も調味料も、特別なものは使っていないはずです。それをうまいと感じさせるのは、料理する人の腕と心の素晴らしさです。それが、この店の居心地の良さにもつながっているのだと思います。


 席を立って店を出ようとすると、お店の方に、
「お立ち寄りいただき、ありがとうございます」
と言われました。航空券と一緒にしか買えないクーポンを持っているということは、旅行者だという何よりの証です。しかし、私にとってここは遠い場所ではありません。以前はこのお店のすぐ近くにある広大跡地の裏手に住んでいました。果たして自分はこの街にとって、元住人であり、旅人でもある。立ち寄るために来たのか、それとも戻ってきたのか。それは、誰かに決められるものではありません。自分のことは自分で決める、それが何よりも大切なことだと思います。ともかく、今、この街にいる、そのことを存分に楽しもうと思うのでした。
 スマートフォンでコインランドリーを検索すると、国道2号線を渡った先にあるらしいので、店を出て歩き出すと……、あれ? 商店街を出てすぐのところにコインランドリーがあるではありませんか。これはラッキー! 洗濯物を乾かしながら、旅のメモもはかどります。


 乾いた洗濯物というのは、意外に邪魔なものです。一旦ゲストハウスへ戻り、荷物を置いてくることにします。これも、一日乗車券だからできるワザ。共用スペースには先ほどの2人の姿はすでになく、日本人らしい男性がiPadに向かっていました。
 さあ、今日はどうするか?
 実は最近、広島に来るたびに振られているお店があります。駅近くにある、酒飲みの聖地 源蔵本店です。行くたびにお休みなので、仕方なくバスセンターの店舗に行くのですが、やはり本場で楽しみたいもの。今日はマツダスタジアムカープ戦もあるようですし、開いているかもしれません。
 今度は広島駅行きの電車に乗り、電停の幅が狭い猿猴橋町で降ります。

「あ! 駅ビルがない!!」
 降りてビックリ。広島駅はすぐ目の前なのですが、そこにあったはずの駅ビルが再開発工事のために取り壊されていました。
 あるはずのものがなくなると、頭が軽く混乱します。そして、以前のことを思い出し、寂しい気持ちになるのです。


 乗ってきた電車は、次の終点、広島駅前に向けて走り去っていきました。信号を渡れば、源蔵本店が見えるはずです。
「開いていてくれ」
 そう願いながら、信号が変わるのを待つのでした。