お出かけ日記ANNEX

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8/3(火) 初めてのお遍路 酷暑の四国一周の旅4日目~その2~

 太龍寺に来たら、おみくじを引かなくてはなりません。本堂のところおみくじの他に絵馬なども置かれていて、どれも代金は賽銭箱へ入れておくシステム。なんと良心的なのでしょう。


 肝心のおみくじは末吉。「旅行 病難火難用心が第一」というので、ここから先も気をつけなければなりません。


 このおみくじがなかなか手厳しく、「待人 来ない まつな」とか、「恋愛 裏切られる止めよ」といった具合です。さらに興味深いのは、「縁談 半ばにして破れる時をまって進めよ 将来は吉」というもの。一体、どういうシチュエーションなんだ? 縁談を進めながら、別の人と付き合えばいいのか? なかなかドロドロとした関係を想像させます。
 納経所へ行くと、駐車場のことは何も聞かれませんでした。こちらから申告しなければ、駐車料金のことも言われません。でも、こんなところで運気が下がるのも嫌なので、正直に申告することにします。


 さて、次にどの札所に行くかによって、明日のスタートの札所が決まります。せっかくここまで来たので、ちょっと時間に余裕がなくなりますが、今日のうちに22番まで行っておくことにしましょう。
 22番平等寺の門前の駐車場に車を停めて、すぐに寺へ向かいます。駐車場から坂道を登らずに寺へ入れるのは、今まで山の中の寺ばかりだったのでちょっと拍子抜けしてしまいます。仁王像のち○びがキュートで、思わず写真を撮ってしまいました。


 本堂へはまっすぐ石段が伸びていましたが、今までの寺へ向かう山道のしんどさに比べたらどうってことはありません。しかし、ジリジリと照りつける日差しの暑さは山寺とは違います。


「そうか。山では木々に守られていたんだな」
 標高が高くて涼しいせいもありましたが、ここまでの日差しの厳しさは感じられませんでした。寺を巡りながらこういったことに気がつくとは、思ってもみませんでした。


 納経所横の建物の中に、お接待の飲み物が置かれていました。一つ、有り難く頂戴します。両替用にと、かごいっぱいの小銭も置かれていました。もちろん、誰かが見張っているわけでもありません。こういった人々の厚意によって、お遍路文化は継承されているのです。


 ここから県道24号線沿いにラーメン屋があることは事前に調べていたのですが、当初の計画ではここを通るのは明日。1日早く来ることになったため、あいにく今日は定休日。
「しまった! このままだと昼食難民だ」
 チェーン店やファーストフード、コンビニのパンやおにぎりならもちろんありますが、やはり旅に出たのですから、できる限りその土地のものを食べたいと思うのが旅人の性。ただ、その性のせいで食いっぱぐれることがよくあるのです。
 ここからは、逆打ちで札所を戻っていくことにします。19番立江寺では、駐車場に入るために駐車券を発券されました。大泉さんが「おぉ、金を取る気かぁ。冗談じゃないよ。ビタ一文出したくねぇなぁ」と言った、あそこです。


 駅にも近い町の中の寺。今まで人里離れた寺ばかりだったので、かえって新鮮です。鐘楼のところには、「鐘をつくことを自粛していただくようお願いいたします。」と張り紙がしてあるにもかかわらず、下には消毒液が置かれていました。


「結局、どっちやねんっ」
 もちろん、駐車料金の300円はきちんと払いました。
 次の18番恩山寺は、山の寺ではあるのですが、今日まわってきた寺に比べたら山というほど山ではありません。でも、それは私が車で来ているからであって、歩いて巡礼するお遍路さんにとってはやはり山なのでしょう。


 順番だと次は17番ですが、そこは車の機動力を生かすことにして、先に13番大日寺へ向かいます。こうすれば、少しずつ徳島市街に近づいていけるのです。
 大日寺の前を通り過ぎた時には気づかなかったのですが、駐車場に車を停めて歩いていくと、寺の向かいに神社があること気がつきました。門柱には「阿波国一宮」と書かれています。


「あ。神社用の御朱印帳、持ってくればよかった」
 でも、この神社に御朱印があるとは限りません。ともかく、まずは寺に向かいました。


 納経所のおばちゃんに、
「お寺の向かいが神社なんですね」
と話しかけると、
「お寺と神社は、昔は一緒だったんですけどね。明治になって分かれたんですよ」
と、神仏混淆廃仏毀釈の話をしてくださいました。そういうことなら、神社にもごあいさつをしなければなりません。


 寺を出て神社に向かうと、なかなか立派な神社です。拝殿の賽銭箱には、「一宮神社御朱印をどうぞ 社務所へ」と書かれた紙が画鋲で貼られていました。そういうことなら仕方がない。駐車場まで、御朱印帳を取りに戻ります。


 社務所らしい建物が見当たりませんが、神社の隣に家があり、入り口に鳥居もあります。


「よし。ここで聞いてみよう」
 庭に入っていくと、真っ黒に日焼けした中学生らしい女の子が、ラケットを持って素振りの練習をしていました。
御朱印、ここでお願いできますか?」
と聞いてみると、彼女は玄関を開けて、
「おじいちゃーん、御朱印―」
と声をかけてくれました。
 後で調べてみると、ここは室町時代以前の阿波一の宮とのこと。戦後にできた新興住宅地で育った私には、そんな歴史ある場所というのが羨ましく思えるのでした。
 次の14番から17番までの札所は、数キロ圏内に固まっています。これを固め打ちして、今日は終わりにするつもりです。