お出かけ日記ANNEX

お出かけ日記(https://ameblo.jp/porori-h/)の別館です。

8/2(月) 初めてのお遍路 酷暑の四国一周の旅3日目~その1~

 宿の朝食というのは、なんとも贅沢な気がします。昨日のうちに、焼き魚はサバとサワラのどちらがよいかと聞かれていたのでサワラをリクエストしたのですが、このサワラが肉厚で食べ応え満点です。
「今、お味噌汁をお持ちします」
と言われて出てきたお椀には、なんとハモがひと切れ入っているではありませんか。そんな贅沢な味噌汁、食べたことがありません。


 昨日食べられなかったデザートも出していただいて、大満足で8時頃にチェックアウト。さあ、いよいよ四国へ向けて出発です。


 洲本を抜けるときにふと、昭和のゲーム、ポートピア連続殺人事件で洲本が出てきたのを思い出しました。ゲーム終盤、主人公であるボスと部下のヤスは、重要人物であるふみえを追って洲本へ行きます。どうやら、ドラゴンクエストの作者として有名な堀井 雄二氏は洲本の出身らしいのです。
「たしか、かたに ちょうちょの かたちの あざのある おとこのこ でした。」


 今日もできるだけ下道を使って、大鳴門橋だけの通行料金で四国に渡るつもりです。東京の道路に比べたら、地方の道の流れはスムーズそのもの。逆に、地方の車の流れに慣れてしまうと、ちょっとそこまで行くのに10分も20分もかかる東京の混雑には辟易してしまいます。
 淡路島の突端、門崎にある道の駅 うずしおへ。巨大な建造物を見るというただそれだけでワクワクするとともに、本州と四国を隔てる海に橋を架けようとした人々の熱い思いが伝わってくるような気がします。


 淡路島南ICから神戸淡路鳴門自動車道に乗ります。大鳴門橋を渡るときに橋の下の海面を見ると、海の水の流れを見ることができました。はっきりとしたうず潮は見ることができませんでしたが、穏やかに見える瀬戸内海ですが、潮の流れはとても速く、複雑なのです。
 橋の区間だけ走り、鳴門北ICで降りて一般道へ。高速道路の脇の小鳴門橋を渡って、ようやく四国へ来たと実感することができました。
 郵便局に立ち寄るのも趣味なので、途中の郵便局で貯金をすると、
「暑いんで、よかったらなめてください」
と塩あめをいただきました。すでにお接待が始まっているのでしょうか。さすが、四国です。
 八十八ヶ所の巡礼を始める前に、阿波国一の宮である大麻比古神社へ向かいます。樹齢約千年という立派な大楠は、それだけで神々しさが感じられます。


 どこかで、この神社を0番札所と紹介していたのを見かけましたが、御朱印を受けたときに一緒にいただいた大麻比古神社御由緒畧記には、江戸時代初期の真言宗の修行僧であった真念法師が1687年(貞享4年)に記した『四国邊路道指南』に記した内容をもとに、次のように書かれていました。
「三町北に大麻彦大明神がある。伴社・中宮社・西宮を備えている。必ず参詣するように。」(口語訳)とある。この事から、大麻比古神社に詣で遍路道中の安全祈願を行う風習があった。
 普段、お守りなんて買わない私も、せっかくなので交通安全のお守りを受けてみました。八十八ヶ所の札所を回った後、納めに来ようと思います。


 神社から参道をまっすぐ南へ向かうと、四国八十八ヶ所霊場1番札所、霊山寺の仁王門前に出ました。テレビなどで見たことのある山門を見ると、「いよいよ来たぞ」という思いを新たにします。そして、まっすぐつづくこの道が、神社と寺、そしてお遍路さんとの関係を物語っているように思うのです。
 駐車場に車を停めて、まずは売店で旅の装備を整えます。ドラゴンクエストなどのロールプレイングゲームでは、最初の城や村などで必要最低限の装備を整えますが、お遍路さんも同じようです。


 白装束の笈摺(おいずる)、ろうそくや線香など、事前に通信販売で購入していたのですが、山谷袋、朱印帳は最初から、ここで買うつもりでした。しかし、さっき駐車場で持ってきた道具を見てみると、経本を自宅に忘れてきてしまったようです。仕方ない、ここで買い求めることにします。
 代金を支払うときに、
「詳しくはこちらに書かれていますので、どうぞお持ちください」
と、売店の方に四国遍路の小さな冊子をいただきました。


 さあ、「発心」と書かれた門をくぐり、いよいよお遍路の旅がスタートすると思ったのですが、仁王門の手前の目立たないところに、何やら看板が捨てられているのが見えました。
「うわあ! 小僧さんではありませんか!」


 水曜どうでしょうの珠玉の寺紹介でお馴染みの看板が、バラバラになって捨てられていたのです。しかも、燃やされたのでしょうか。焦げているようにも見えます。
「なんて罰当たりな……」
 しかし、旅は始まるのです。気持ちを落ち着かせて、先へ進むことにしましょう。


 まずは本堂へ向かいます。線香に火をつけるための種火もちゃんと用意されているなど、初心者のお遍路さんでも安心です。


 天井の見事な灯りを見てから、次は大師堂へ向かいます。池を越えてこの大師堂へ架かる橋の上で、多宝塔をバックに小声で「1番霊山寺」と呟きながら写真を撮るのを忘れません。


 さあ、これで1/88。八十八ヶ所霊場を巡るお遍路の旅が今、始まったのです。