お出かけ日記ANNEX

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8/2(月) 初めてのお遍路 酷暑の四国一周の旅3日目~その2~

 次の札所に行く前に、舩本うどん大麻店に立ち寄って鳴ちゅるうどんというものいただいたのですが、平たく細い麺は、秋田の稲庭うどんをさらに細く薄くした感じでしょうか。すっきりとした出汁は、二日酔いのときでもいけそうです。


 さあ、お遍路の旅、どんどん先へ進むことにしましょう。
 2番極楽寺では、初めて梵鐘をつかせていただきます。もうそれだけで、なんだか立派なお遍路さんになったような気分です。


「よくぞご無事で!」


 こちらでは、小僧さんの看板にちゃんと会うことができました。
 3番金泉寺では、納経所で「同行二人へんろ旅」と書かれた車に貼るマグネットシートを買い求めました。着々とレベルが上がっていくような気分です。


 4番大日寺へは、少し山の方へと入っていきます。随分と立派な鐘楼門が建っているなと思ったら、2018年(平成30年)に新再建されたと書かれていました。古いものだけではないようです。


 5番地蔵寺では、本堂前の先祖供養地蔵尊の水琴の涼やかな音に、暑さの中、寺巡りをこなしてきた疲れも癒やされます。


 そう、こなしていくのです。どの札所でも、基本の作法は共通しています。つまり、ルーティーンというやつです。パターンさえ覚えてしまえばどこでも通用するのです
 これは、旅にも通じることだと思います。国内でも海外でも、国や地域、地方によっても若干の差はあるとは思いますが、旅の基本の部分は同じです。いつもと同じようなことなのですが、いつもと同じでない。買い物の仕方、公共交通機関の利用の仕方など、より基本に忠実にやるだけです。そうすることで、様々な人と出会ったり、その土地の人々が大切にしてきた文化や信仰といったものに触れさせていただいたりする。自分は部外者であるけれど、その土地に対するリスペクトは決して忘れない。「旅の恥はかき捨て」といって何をしてもよいわけではないのです。その土地に旅人として入り込むことが大事なのです。そして、お遍路の旅には、その基本の要素全てが入っているような気がします。
 しかし、単に寺を巡り、こなしていくだけの旅ではあまりにもったいないので、旅の楽しみである寄り道もしていくことにしましょう。いつまでに何か所回らなければいけないという縛りはないのです。それに、当初の計画よりもずっと早く進んでいます。他のお遍路さんの姿をほとんど見かけないほどどの寺も空いているので、納経所で待つこともありません。
 次の札所へ行く途中にある岡田製糖所で、和三盆糖を買うことにしましょう。いかにも田舎の大きなお屋敷といった風情で、門柱には「岡田」の表札がきちんとかかっています。


 和三盆というと、高級な砂糖といったイメージしかなかったのですが、試食させていただいてびっくり。甘くて美味しいだけでなく、甘さが体にすうっとしみ込んでいくのです。
「これが和三盆なのか……」
 車で持ち帰れるかと係の若い女性に尋ねたところ、
「暑い車内に置いたままにすることはお勧めできません」
と丁寧に言われてしまいました。うろ覚えなのですが、蜜の成分が溶けるとか、そんなことを言われたような気がします。ならば、宿泊する時など、長く車を離れるような時は持って降りなくてはいけません。
 6番札所は今晩宿泊する予定なので、飛ばして先に7番十楽寺へ向かいます。車で移動するので、札所の順番にこだわる必要はありません。いざとなったら、うんと長い距離を戻ることだって可能なのです。昔のお遍路さんは当然、歩いて札所を巡ったはず。でも、今では色々な方法があります。「こうしなければならない」ではなく、自分なりのやり方というのが大切なのではないかと思うのです。
 7番十楽寺では、納経の時間が午後からと書かれていました。その情報を知っていたわけではないのですが、とにかくラッキーです。


 8番熊谷寺で初めて、駐車料金についての立て看板を見かけました。「志納金御協力 お願い致します」と書かれた看板を見て、つい、今まで無料で停めさせてくれた寺と比較してしまいます。


 駐車場から寺まで、林の緑の中を歩く気持ちのよい道です。


「あっ! カナヘビだ!」


 街の中ではなかなか見ることのできない小さな生き物たちに出会えるのは、こういった道を歩く楽しみです。そんな道を歩くために駐車料金を支払うのは、やぶさかではありません。
「志納金でいいなら気が楽だなあ」
と思ったのですが、車遍路の旅では後々、この駐車料金に苦しめられることになるのでした。
 林の中の熊谷寺から、田んぼの真ん中にある9番法輪寺へ。なんだか昔話か時代劇にでも出てきそうな雰囲気の寺です。


 駐車場の前、これまた雰囲気のいい茶屋がありました。せっかくなのでひと休みしようかと声をかけたのですが、誰もいないようです。でもそれがまた、ここで時が止まっているような気がして嬉しくなるのでした。


 当初の予定では、ここで打ち止め。でも、時刻はまだ15:30。納経所はどこも基本的に17時まで開いているので、今日は行けるところまで行ってみることにします。