お出かけ日記ANNEX

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8/2(月) 初めてのお遍路 酷暑の四国一周の旅3日目~その3~

 10番切幡寺へ向かう道は、「え? こんな所を入って大丈夫なの?」といった感じの道。こちらは軽自動車なのでどうってことはないのですが、大きな車だったら躊躇してしまいそうです。さらにその後は、とんでもなく急な坂道で、軽自動車の非力さを感じます。
「すごい所だなぁ……」
と思っていたのですが、私のすぐ後に自動販売機の補充に来たトラックがドリンクをたくさん積んで上がってきたので、さらに驚いてしまいました。


 次の札所までの間にある吉野川を渡ろうとすると、欄干のない潜水橋に差しかかりました。この川島橋は島を挟んで架かっており、橋と橋の間の陸地は日本最大の川中島、善入寺島というところだそうです。走りながら、「ひまわりがきれいだなあ」と思っていたら案の定名所だったようで、後で写真を撮ればよかったと後悔したのでした。


 11番藤井寺を目指して奥へ奥へと進んで行くと、有料の駐車場がありました。寺の方へさらに道が続いていて、軽自動車なら入れそうです。


「この先に駐車場があるかもしれない」


 けれど、進んでいくと寺の境内に入ってしまいました。おとなしく引き返して、駐車場に車を止めて料金を支払います。その時、料金所のおじいさんに、
「何ぞ言われた?」
と聞かれました。この先へ入って止めてしまい、寺の人に「邪魔だ」と怒られる人がいるらしいのです。お詣りの後、納経所のおじさんが少し怖く見えてしまったのは、そんな話を聞いたせいでしょうか。


 納経所の締め切りまで、あと1時間ほどあります。藤井寺から先へ進むか、それとも今日はここでやめておくか。次の札所は、遍路ころがしとも言われる難所の一つ、焼山寺。ならば無理をせずに、今日はここで打ち止めとしておきましょう。宿坊を予約している6番安楽寺へと向かいます。
 宿に入る前につまみを……と思い、コンビニを探すのですが、見当たりません。探していない時にはいくらでも見かけるのに、不思議なものです。


 6番安楽寺に着くと、もう少しで17時。まだ間に合います。宿坊前に車を止めて、
「先にお詣りさせてください」
と声をかけると、宿坊の方に、
十楽寺さんには行かれましたか?」
と確認されました。納経所の時間が変更になっていることを知らせようと何度か連絡をくださったそうなのですが、電話が繋がらなかったそうなのです。
「あれ? 電話なんて、一度もかかってきていないぞ」
 後で調べてみると、予約の際に知らせていた電話番号が違っていたのでした。


 とにかく、お詣りをしてから納経所へ行きます。
「あ、お財布、車に忘れた!」
 そう言うと、納経所のおばちゃんは笑って、
「あるよねぇ、そういうこと」
と言いました。よかった、怖い人じゃなくて。
 参拝者用の駐車場は寺から少し離れたところにあるのですが、私のように宿坊の宿泊者は、本堂のすぐ前に止めることができるのです。
 すぐに戻ると、おばちゃんの顔に「ずいぶん早く戻ってきたな」と書いてあったので、今日は宿坊に泊まるということを伝えると、
「今日はお客さん、一人よ」
と教えてくれました。
「ラッキー! 貸切だ」
 すると、おばちゃんは少し残念そうに、
「人が多ければ、ちょっと神秘的なところに案内してもらえたのにねぇ」
と言います。でも、それなら、また来ればよいのです。一生に一度しか来てはいけない、そんな場所は世界のどこにもありません。おばちゃんも、
「また来てね」
と笑顔で見送ってくれました。
 17時直前にチェックインすると、17:30から寺を案内してくれると言います。宿坊の方は、今日の客が私1人だとは言いませんが、マンツーマンで案内してもらえるはずです。おばちゃんは残念と言っていましたが、これはラッキーです。早速、風呂で汗を流してから参加します。


 性霊殿、本堂と案内していただきます。御本尊の薬師如来像や弘法大師が書いた般若心経などを触れるくらい近くで拝見させていただくことができました。
 案内の中で、お坊さんが、
「仏教の宗派は分かれておりますが、仏さまの教えは同じです」
ということを何度も話されました。もしかすると、全ての宗教や信仰もそうかもしれません。人として、よりよく幸せに生きるという願いが根底にあるはずなのですから。
 案内が終わるとすぐに夕食。精進料理っぽく見えますが、生野菜の下にはサーモンとエビが入っていました。ちゃんと見えないようにしているところがさすがです。それに、何より私一人のために夕食を用意していただけることがありがたいではありませんか。人は旅の中で誰かの親切に触れたとき、旅の喜びを知るのでしょう。


 部屋に戻って、今日の振り返りをします。お遍路初日で11番まで回れたのは嬉しい誤算です。明日は序盤の難所の一つ、12番焼山寺からスタートできます。それも、11番札所から険しい道を行く必要はなく、走りやすい道を選んで直行できるのです。
 そうなると、明日以降の予定がずれ込んで来ます。計画では、明日は17番井戸寺まで行って徳島市内泊の予定でしたが、それではもったいない。今日のアドバンテージがあるのですから、もっと先まで進めそうです。
 調べてみると、明日の宿泊をキャンセルするにはキャンセル料がかかるようです。それなら徳島市内泊は変えず、行けるところまで行って戻ることにしましょう。明後日は室戸岬最御崎寺を予約していましたが、もう少し先まで行けそうなのでキャンセルして、安芸市に宿を取ろうと思います。1泊2食付きで2種類のプランがあったので、何が違うのかと電話で問い合わせてみると、料理が違うとのこと。せっかくなので、高い方にしてみましょう。
 明日以降の見通しが立ったところで、21時まで入れる温泉にもう一度浸かり、明日に備えて休むことにします。