お出かけ日記ANNEX

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9/12(日) 2回目のお遍路 秋のうどん県寺巡りの旅2日目~その5~

 72番曼荼羅寺の門前で、歩き遍路の方を見かけました。車で回っていると、早く次の札所へと急いでしまうのですが、歩き遍路の方からは、そんな焦りのようなものは感じられません。いや、車か歩きかという手段の問題ではなく、ただ単純に私が先を急ぎたい性格だからなのかもしれません。


 駐車場に車を停めて山門をくぐると、歩き遍路の方も境内にいらっしゃいました。私が鐘をついてお詣りを済ませようとすると、彼はまだ荷物を降ろしてひと休み。それから、私の後に鐘をつこうとしていました。
「こういった余裕が、自分にはないなぁ……」
 何も、急いで八十八ヶ所を巡る必要はありません。時間に追われているわけでもないし、ノルマが決められているわけでもない。自分で決めればよいのです。でもそんな時、そこでどのように振舞うかというところに、その人となりが表れるのでしょう。
 私はというと、72番曼荼羅寺に着く前に、73番出釋迦寺のことを考えていました。というのも、車を停める前に、曼荼羅寺の駐車場が有料だという表示を見かけたのです。
「次の寺も駐車場が有料だったら、もう一度払うのはもったいないなぁ……」
と、まだ72番にも着いていないのに、73番へ歩いて行くか、車で行くかと思案していたのです。
 その時。ふと、寺を巡っている最中にもかかわらず、有名な聖書の箇所を思い出していました。それは、空の鳥や野の花をたとえにして、思い悩むなと説教をするお話です。
「まさに、今の私にピッタリだな」
 いろいろ考えても仕方がありません。それに、駐車料金がかかるのであれば、支払えばいいだけのこと。それで困るような額でもありませんし、そんなことで思い悩むことで、旅が楽しめなくなってしまいます。
「うん。なるようにしかならない」
と思って、気を取り直して72番、73番と順に巡ることにしたのでした。

 曼荼羅寺の納経を済ませ、車で出釋迦寺へ向かうと、駐車場は無料。寺へ向かって歩いて行くと、「通行止めのお知らせ」と書かれた看板が立っていました。


「これはダメか……」
 来た道を引き返そうとすると、下の方で立ち話をしていた女性が、
「行けますよ」
と教えてくれました。やはり、旅をしていると誰かに助けられる瞬間があります。そのことに対して、ありがたいという気持ちを忘れてはならないと思うのです。

 境内には、onちゃんのグッズをつけた巡礼者の姿も見かけました。やはり、あの番組の影響でお遍路をする人も少なくないのでしょう。それも、ただ門の前で写真を撮るだけでなく、みなさんちゃんとお詣りして、納経もするようです。
 お詣りを終えて車に戻ろうとすると、先ほどの私と同じように、石段の下で白装束に笠をかぶった男性が、看板を見て思案していました。
「上まで行けますよ」
と、今度は私が声をかけます。すると、男性は「ありがとうございます」と言って、寺へと上がっていきました。お遍路さんに親切にすることを、お接待といいます。でも、それはサービスではなく、お接待をされたお遍路さんもまた、次の誰かに親切にする。思いやりの気持ちがつながっていくのが、本当のお接待なのだと思うのでした。
 次の札所は、74番甲山寺。ここには、いたるところにうさぎの像や絵があります。納経所に行くと、うさぎの御朱印もいただけるということだったので、車に戻って御朱印帳を取ってこようかとも思ったのですが、それぞれの札所の納経所が開いているのは17時まで。あと1時間ちょっとです。ここでロスしてしまっては、次の札所の納経に間に合わないかもしれません。


 なに、また来ればいいのです。楽しみは先に取っておけばよいのだと言い聞かせて、次の寺で今日は打ち止めにすることを決めました。
 75番善通寺に着いてまず驚いたのが、ショッピングモールの駐車場のような広大な駐車場です。今まで巡ってきた札所の駐車場で、一番大きいのではないでしょうか。当然、駐車場からお寺までは少し歩くことになります。


 鐘をつき、まずは本堂へお詣り……と思ったら、すぐ近くにある大きなお堂は大師堂で、本堂は道を渡ったさらに先にあるようです。さすが、真言宗善通寺派の総本山。その敷地も広大で、まるで公園の中にお堂や塔が建てられているようです。広々とした境内では、小さな子どもとその親御さんらしい大人が一緒に遊んでいます。東京の小学校の校庭よりもずっと広くて、運動会もできそうです。


 お詣りをするときに気づいたのが、この寺では線香を香炉に立てずに寝かして置くようです。もちろん、それに倣って、私も寝かせます。火が消えるのではないかと心配したのですが、見る限り、そのようなことはなさそうです。


 お詣りを終えて納経所へ行くと、さすがに規模が大きなお寺だからか、二人体制で受け付けていましたしかし、どちらも前の方が御朱印の種類についていろいろ質問しているらしく、それがなかなか終わりません。次に行く札所が控えていればイライラしそうなものですが、今日はここで打ち止めにするつもりなので、気が楽です。
 車に戻ると、時刻は16:44。大急ぎで行けば、ギリギリでどこかの札所の納経所に飛び込むこともできそうな気がしますが、朝から札所を巡り、さすがに疲れました。どこかでひと休みしてから、丸亀のホテルへ向かうことにしましょう。