お出かけ日記ANNEX

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8/5(木) 初めてのお遍路 酷暑の四国一周の旅6日目~その3~

 ゲストハウスに到着する前に、旅の間に出た汚れものを洗濯しておきたいものです。ゲストハウスの近所にもコインランドリーはあったのですが、あいにく駐車場がありません。多少の遠征はやむなしということで、江ノ口川を渡ったところに駐車場があるコインランドリーを発見しました。店内を見ると、「夏季冷房稼働時間 9:00〜18:00」と書いてあります。今から洗濯機を回して乾燥まですると、18時までには終わりそうにありません。でも、冷房が止まってもしばらくは涼しさが残っていることでしょう。


 駐車場が必要なのは、洗濯中に旅のメモをまとめるからです。これだけ毎日多くの寺を回っていると、その記録が追いつかないのです。インターネット上でお遍路の旅を詳細にレポートしている方を見かけますが、その取材力がすごいと思います。ひとり旅でなく、運転手が別にいたり、バスツアーで巡ったりすればできるのかもしれませんが、ひとり旅の私にはなかなか難しいです。
 予約しているゲストハウスは市内中心部のはりまや橋にあるので、当然のことながら駐車場はありません。近くのコインパーキングをあたることになるのですが、泊まりはだいたい20時から。時刻はまだ、19時前。しばらくぐるぐると回り、止められるところを探します。ようやく電車通りを渡ったところに、「止め放題 夜400円」と看板に書かれていた駐車場を見つけました。ここは17時から泊まり扱いになるようです。少し離れていますが、5分も歩けば着くでしょう。
 洗濯中に、ゲストハウスからメールが届いていました。そこにはチェックインの仕方が詳細に書かれています。キーボックスの番号が書かれていて、その鍵を使って玄関を開けることや、その後の手続きを自分で行うこと、注意書きや指定のベッドは所定の場所に表示してあることなど、事細かに書かれていました。つまり、どこまでもセルフサービスということのようです。
 ゲストハウスまで歩く途中、はりまや橋を渡ります。日本三大がっかりスポットとも言われるこのはりまや橋。私が渡ったのは、明治時代のはりまや橋を復元したもの。この他に、路面電車も通る大きなはりまや橋。江戸時代の橋を復元したはりまや橋。それに、地下にはま別の橋が展示されているらしいのです。


「どれが本当のはりまや橋なんだ?」
 こんな複雑な観光名所、他にあるでしょうか。


 どうにかゲストハウスに着いて、メールの通りにキーボックスの番号を合わせていると、ガチャッと音がして扉が開きました。中にスタッフがいたようです。今までいろいろなゲストハウスに泊まりましたが、チェックインのときにスタッフがいなかったところはありませんでした。もしかすると初めてのケースだったかもしれないと思うと、少し残念な気もします。
 二段ベッドが並ぶ奥の部屋は和室。ベッドの割り当ては、壁に架けられたホワイトボードに書かれていました。確かに合理的ではあるのですが、人とのつながりがないのはやはり寂しいものです。


 ともあれ、荷物を置いて夕食を食べに出かけましょう。


 繁華街のアーケードを抜けて、ひろめ市場へ向かいます。中に入ってみると、ショッピングモールのフードコートのような店内にたくさんの人が集まっています。なかなかの賑わいで、ぱっと見ても空席が見当たりません。ぐるりと歩き回って、ひろめ市場で一番大きな飲食スペースであるお城下広場のカウンター席に2つほど、空席を見つけました。横に座っていた若い女性に声をかけて、座らせてもらいます。ほどなく彼氏らしき男性が戻ってきて、空席は無くなりました。


 まずは近くの店で、カツオの塩たたきを買ってきます。高知に来たら、まずはこれ。生のにんにくを載せて、ビールと一緒にいただきます。生臭さなんか一つもありません。口の中いっぱいに広がるかつおのうま味とともに、にんにくの香りと辛みがアクセントになり、ビールがぐいぐい進みます。


 数あるお酒の中でも、私が大好きなのが日本酒。並んでいるお店を覗いてみると、一合瓶で売っているお店があるではありませんか。そのまま置かれた常温の他に、湯煎されている瓶もあります。私でも知っている高知の有名なお酒に混じって、桂月という知らないお酒がありました。
「これ、ください」
 知らなかった酒に出会えるのも、旅の楽しみです。


 席に戻り、小さなプラスチックのカップに入れていただきます。さらりと飲みやすくてこれがまたうまい。残りのカツオの塩タタキは、あっという間になくなってしまいました。
 次のつまみを考えます。ここはたくさん並んでいる店で食べ物を購入し、自分の席でいただくというシステムです。さっきとは別の店で、ハマチだったかカンパチだったか忘れましたが、柚子胡椒と一緒にいただきます。居酒屋や大衆酒場もいいのですが、こんな風に買ってきて食べるというのもまた、楽しいものです。


 しかし、コロナ禍で昨今は会食や酒類の提供ができなくなっているところが多い中、こういった形での営業には厳しい目が向けられることでしょう。もちろん、ひろめ市場でも感染対策をしながら営業していました。入場時のアルコール消毒の呼びかけ、使用したテーブルや座席の係員による消毒、仕切り板の設置は当然のこと。さらに、係員の配置と巡回が行われていました。会話の自粛(会話をするときはマスクの着用)が呼びかけられていましたが、マスクをせずに会話をしていると、係員が注意をしに来ます。また、マスクを着用せずに歩いたり、その時に鼻がマスクから出ていたりすると、あちこちに立っている係員が声をかけているのです。酒類提供ができない地域の呑み助からすれば天国のような環境を維持するための努力は、並大抵のものではなさそうです。
 なお、この旅の後、8月19日に高知市に非常事態が発表され、県の要請により8月21日から酒類のオーダーストップは18:50、その他飲食物のオーダーストップは19:30となりました。
 ほろ酔い気分でゲストハウスに戻り、自分のベッドに寝転ぶと、私の意識は呑み助の天国からそのまま夢の中へと引き込まれていったのでした。