お出かけ日記ANNEX

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8/1(日) 初めてのお遍路 酷暑の四国一周の旅2日目~その2~

 木津川を渡って国道163号線に出ました。

「行けるところまでは下道で行こう」

 最初に考えていた通りに奈良や飛鳥に立ち寄ると、その後に淡路島まで行くのが大変です。それなら、まずはまっすぐ大阪まで行ってしまいましょう。大阪といえば、美味しいものがたくさんある街。お昼頃には着けるはずです。

 でも、大阪の街中で駐車場があって、なおかつ美味しいお店というのが思い浮かびません。

 予想通り、大阪天満宮のあたりを走っているときに正午になりました。駐車場付きで美味しそうなお店などあるはずもなく、スマートフォンでお店を探して、それからその近くの駐車場を探すとなると二度手間になってしまいます。

 仕方ない。大阪をちょっと外して考えてみましょう。

「そうだ。たこ焼き食べに、西宮へ行こう」

 西宮は、私が以前住んでいた街。そして、友だちを訪ねて何度も通った懐かしい街。だから、立ち寄るにはもってこいの街なのです。

 スマートフォンで検索してみると、子供の頃に遊びに行った公園のあたりに評判の良さそうな店を見つけました。店舗は大きめのスーパーの一角にあるようなので、駐車場には困りません。

 店の前に到着して西宮の友人に連絡してみると、

「食べた事ない」

「買った事ないけど多分普通だと思う」

といった返事が来ました。

 お店を見ても流行っている様子はありません。値段も安いので、あまり期待せずに注文してみたのですが、どうにも味がくどい。確かに安く、パンチが効いた味ではあるのですが、私が求めているのは、もうちょっと上品な味のたこ焼きなのです。

 このままおめおめと退散するわけにはいきません。友だちの家に行ったとき、よく買いに行ったお店に行ってリベンジすることにします。

「まだやってるかなぁ……」

 新しい店が立ち並び、すっかり変わった街並みを見て心配になったのですが、古びた商店は相変わらずそこにありました。

「こんにちは。たこ焼き、焼いてください」

 おばちゃんに頼むと、ガスの栓をひねって火を入れて、穴の開いた鉄板に生地を流し込みます。千枚通しを使って目の前で焼いてくれるのを見ながら待つこの時間がいいのです。

「このあたり、だいぶ変わりましたねぇ」

「どこも20年の借地契約が切れてねえ。だいぶ変わったねぇ」

 20年前というと、1995年の阪神・淡路大震災の復興が言われていた頃でしょうか。その頃に建てられた家や店が建て替えの時期なのだと言います。あれからもう、そんなに経つのかと思いながら、アツアツ焼きたてのたこ焼きを車の中で頬張るのでした。

 再び国道43号線に戻り、深江から阪神高速3号神戸線に乗って淡路島を目指します。街並みは変わっても、防音壁越しに見える六甲の山並みは相変わらずで、懐かしい気持ちになります。

 名谷、垂水と複雑なジャンクションを抜けて、いよいよ明石海峡大橋に差し掛かります。これを渡れば、本州を離れていよいよ淡路島。夏の味覚、鱧が私を待っています。

 淡路ICで降りて、島の東側を海沿いに走ります。まず目指すのは、高さ約100mという世界平和大観音像。同僚の巨大仏好きな方に、

「すごい観音さまが淡路島にいらっしゃるんです」

と教えてもらったのは昨年のこと。しかし、所有者が亡くなっていることなどから、

「いつまであるかわからないです」

と言っていました。結局、2021年6月14日から解体工事が始まったというので、どの程度まで工事が進んでいるかが心配です。

 国道28号線の緩やかな左カーブを抜けると、向こうにその姿が見えました。

「やった! まだ残っているぞ!!」

 同僚に写真を送ってみたところ、存在は知っていたものの、実際に見に来たことはなかったそうで、

「風景に全く馴染んでいない存在感が最高」

とおっしゃっていました。全くその通りで、こういったものに出会えるのも旅の楽しみです。

 せっかくなので、淡路国一の宮伊弉諾神宮を訪ねてみます。ここにも以前来たつもりでいたのですが、覚えが全くありません。

 丸い神橋を渡って、拝殿へと向かいます。こういった神社のつくりそのものが、まるでテーマパークのようでワクワクします。

 洲本を過ぎて、関西人にはテレビCMでお馴染みのホテルニューアワジ前を通って由良へ。予約していた民宿 魚春は、海沿いの県道から少し入ったところにありました。何軒かの住宅が並ぶうちの奥の一軒屋で、まさに民宿。どこから見ても、普通の民家です。

 家の前に車を止めて玄関へ向かうと、ここでも大きな蜂の羽音。勘弁してくれと思うものの、邪魔をしに来たのはこちらの方。ここは、うまくやり過ごすしかありません。呼び鈴を押してから玄関のドアを開けると、宿の奥さんが迎えてくれました。

 チェックインをして案内されたのは、2階の1番奥の部屋。今日はどうやら、客は私だけのようです。コロナ禍とはいえ、きっと経営的には厳しい状況なのでしょう。それでも、

「東京ではなかなかハモはないでしょう。今日はハモをたくさん召し上がっていただきます」

と、嬉しい宣戦布告をいただいたのでした。